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| カエターノ=作曲家兼歌手と、ガル・コスタ=歌手の二人による、心地いいボサノヴァ・アルバム。これはすごい貴重なの。なぜかというとこの二人は、この後全然違う方向を歩みだしてしまうから。 カエターノは、サイケデリックになって、ボサノヴァというスタイルから離れていってしまう。政治的なメッセージを強く出す方向に行く。表現の規制が厳しくなって、亡命したりもしたのかな。その後はエンターテイメントとしての音楽を推し進めて、今はすごい国民的歌手になっているんだけど。一方ガル・コスタは、ブラジルで有名なシンガーとして成長しつづけるんだけど、このアルバムのように素直で自然な歌い方じゃなくて、年を経るにつれだんだん熱唱系になり、バタくさくなっていく。 この、飾り気がなくて、アコースティックで、歌いあげない感じ。自然な感じがすごい好きなのね。収録されているのは全部カエタノの作った曲なんだけど、曲自体もいいし、サウンドが平和でね・・・いいんだなぁ・・・。 5,6年前にリサ(小野リサさん)に勧められたのが、このアルバムを聴いたきっかけなんだ。彼女とはよく一緒に演奏していた頃で、僕がボサノヴァは大好きだけど知識量として足りないっていう時に、彼女からボサノヴァについていろいろ教えてもらった。だから僕のボサノヴァ感は彼女の受け売りが多いかもしれない。ガル・コスタの歌い方は、リサにどこか似ているような気もするんだよね。誰々に似てるなんていう言い方したらミュージシャンは嫌なものだろうけど、くどい歌い方をしない、あくまで自然体でリラックスした感じが共通しているかな。僕はボサノヴァ自体ものすごい好きで、だからリサのアルバムをプロデュースをしたりもしたし、ブラジル人ミュージシャンとの付き合いもある。ボサノヴァの中でも好きなのは、ちゃんと間があるもの。言葉が羅列されていない。ゆったりしている。詞と詞の行間が感じられる。喋るように歌っていたり、演奏していたりするのがすごい好きだね。いい意味の脱力感が得られる。 男性ボーカリストって基本的に嫌いなんだけど、ボサノヴァに関しては好きなの。耳もとで歌ってもらっているような感じがたまらないんだよね。5000人のライブホールで歌っているっていうよりは、小さな空間で少人数のために歌っているって感じがするでしょ。みんなで聴くというより、2、3人でなごんでリラックスして聴くっていう感覚なところがすごい好き。 ・・・あぁぁこんな風に歌う人と付き合いたいなぁ、、とか思うよねぇ・・・。 大人だけど、、いや、なんて言えばいいのかなぁ、大人に憧れているんだけど、まだ未成熟な感じの声。歳をとるともっと声が太くなっていく。ある種完成されちゃうとつまらない。完成されたものより、発達途上のものに魅力を感じるというのかな。これはアート全般に思うことなのかもしれないけど。何気なく歌っているけど、音程もいいし、リズムもいいし。自然に歌っているように歌う、こういう抑制された歌い方って実はすごく難しいものだと思う。どこをとっても、とても好きなアルバムだね。
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