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きかせてよ-シャンソン・ド・レミ / 平野レミ
   CD
きかせてよ愛の言葉を / こんなに小さい / 四月のパリ / 十八歳の彼 / 愛のベージ / 孤独 / シャンソン・ド・レミ / 時は流れて / ジャヴァ / ひなげしのように / おまえのうまれた日、どうして / バラ色の人生 


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レミさんとのお付き合いは、もう25年ぐらいになるのかな。レミさんの曲を八木さんや前田のりおさんがアレンジして、俺がピアノを弾くようになって、密になっていった。
レミさんの旦那様である和田誠さんとはもっと前から知り合いだったから、よく家に遊びに行ってご飯をご馳走になってた。レミさんの料理、これがうまいのなんのって。当時から、料理研究家になるのも納得の味してたんだよ。

この頃の俺は、ビクター専属で3枚ぐらいレコードを出して、和田さんからレミさん、岸葉子さんというつながりでシャンソンにかかわるようになっていた。山岸君を通じて、ブルース連中と関わっていた時期でもあるね。ブルースにはまった10年間というのがあって、その真っ只中だった。ディナーショーまわりをしたり、音楽監督系の仕事が多かったな。あとはGOMBOっていうロックバンド的なジャズバンドをやってて、アルトとテナーのサックスを2本いれて、ピアノをやるなんてこともやっていた。

シャンソンって、フランス語では「歌」っていう意味だけど、もっと狭い意味では、フランスの流行り歌を文学的に表現するような音楽をさす。ジャズとシャンソンをあえて比較してみると、音楽に寄っているのがジャズで、文学に寄っているのがシャンソン、と言えると思う。テンポの揺れを多用して、音楽を表現するのがシャンソン。ジャズはそっち側にとどまるのを嫌うので、ビートの中でものを言おうとする。
このアルバムは、典型的なシャンソンという感じではなくて、むしろジャズっぽいのね。演歌の洋楽バージョンみたいに、゛泣いて泣いて恨み節゛っていうのが日本のシャンソンには結構多いんだけど、そういうものにはしたくなかったみたい。

レミさんはすごく明るくて、おしゃべりで、太陽みたいな陽気な人柄なの。でもそんな人が4小節で、かわいい女性に変身しちゃう。イントロを歌っている間にぷっと、その世界に入るんだよね。歌というのはその人の内面が出るものだけど、彼女の場合、人間の暗いところも知っていて、その上で明るく生きている、そういう人間性が現れていると思う。夢見る乙女だと思うよ。
お父さんがアメリカ人とのハーフで、彼女はクォーターで、小さい頃はいろいろ苦労もしたと思うんだ。でもそういう苦労体験があったからこそ、周りのみんなを幸せにしちゃう底抜けに明るい性格になったのかな。

アルバムタイトルの曲「シャンソン・ド・レミ」は面白いよ。レミさんのテーマソングとして作った曲でね。詞がレミのところは、音もレとミに。ソファーは音もソとファに。っていうふうにすごい遊んでいるの。ファンファーレ、はファとレとかね。レミさんもすごく気に入ってくれた。楽しい曲です。

このアルバムでコーラスをやっているタイムファイブとはその時も仲良しで、和気あいあいの雰囲気で一緒にレコーディングをやれた。けれどね、俺が書いたコーラスだとどうしてもいつものタイムファイブにならなかったの。なぜか、ね。それが、タイムファイブのリーダーの吉村さんがちょこちょこっと譜面を直すと、ちゃんとタイムファイブのコーラスサウンドになる。何でか分かんないんだけど、すごいなって思ったね。この時のレコーディングの雰囲気も、仲良くやっているんだけど、よくないと思う時は、よくないとお互いに言うっていうのが徹底していたから、コーラスの「何か違うよね」っていう点もちゃんと指摘してくれて、いろいろ勉強にもなったよ。そういうことに対する遠慮は我々にはなかったから。よくない時にはちゃんとよくないって言える間柄だと、今日は良かったね、って時は本当にいいっていうことだから、すごくいいよね。安心できるよね。
コーラスってオクターブの関係とか特殊な点があって、独特の書き方がある。混声と男性のコーラスでは書き方が違うし。当時の俺はそういうこともあんまり知らなかったから大変だった。でも、とりあえず若手にやらせてみよう。それで失敗させて学ばせていく、そういう環境があった。そんな環境で随分鍛えられたしね。
前田のりおから俺につながるタイプのアレンジャ−は今いないですね。自分でデモテープから打ち込みができてっていうね。失われゆく職人芸ってやつかな。


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2002/7/30 佐山雅弘
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