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| 50枚目にふさわしい1枚のアルバムを紹介します。 50枚紹介してきましたが、中でもこれは5本の指に入る作品だと断言できます。 しかも音楽そのものが、私の好みに至極かなっているという、そんな小さな枠をも越えている。 そういう感じ方をしたのは、このアルバムが初めてです。また一歩深いところで音楽の喜びを知るきっかけとなりました。 Isaac FreemanはThe Fairfield FourのBass Vocalistです。 ただいま73才でソロデビュー。 映画、”オーブラザー”に出演して歌っていましたので、「ああわたし見たわ」という方もいらっしゃるかもしれません。80年代に再結成してからのThe Fairfield Fourのゴスペルミュージックの枠を越えた活躍はここで言うまでもないでしょう。ステラ、グラミーの受賞、エルヴィス・コステロらとの共演を記憶されてる方もいるかもしれません。来日公演もすでに果たして、今年も来日が予定されています。 このアルバムをタワーレコードの試聴機で聴いたとき、おもわず目を閉じて聴き入ってしまい、そこにいることを忘れました。 ハモンドの調べが細くひろがる。靄のようにくぐもりながら艶のある音。 そしてゆっくりと一言ずつ語り出す低く暖かい声。 声色からは、気持ちを伝えようとかイントロでこうしゃべってやろうとかいう焦りは全く感じられない。 その歌が歌われた場所、年、理由が述べられていく。 そして最後まで語らずに、最初のメロディを歌い出すのだ。 その何とも言えない間から、彼が生きてきた73年間が滲み出す。 喜んで歌ってきた。歌うことが大切だった。 50年代半ばから80年代まで、ミュージックビジネスを離れ他の仕事をしていて、時々歌っていただけだったというエピソードから、ブエナビスタソシアルクラブのミュージシャン達を連想するが、「喜んで歌ってきた。歌うことが大切だった。」ただそれだけなんだろう。 一人の人間がそうやって生きてきた、そのことこそが、神さまからの尊い贈り物だ。 また、このアルバムを愛おしいものにしているのは、声だけではない。 演奏をしているThe Bluebloodsというバンド、これは僕にとって大きな発見だ。 アルバムを一聴すると、とてもよくできたプロデュースなのではないかと思わされる。 金がかかっているということでなく、アレンジや録り音のセンスに関してだ。 カサンドラ・ウィルソンを手掛けたクレイグ・ストリート(プロデュース作品)や、ロスロボスなどで有名なチャド・ブレイク/ミッチェル・フルームなどを思い出した。 しかし、Isaac Freemanはインタビューでこう語っている。 「スタジオで初めて彼らに会った時こう言ったんだ。『聞いてくれ、これから古い唄をやろうと思う。君らが僕の唄についてこれるかどうかわからんが、こんな感じ歌うよ。』そして、一曲歌った。彼らはすぐに私のスタイルについてきたよ」 アルバムを聴いたらわかるが、すばらしい伴奏だ。遠慮も虚栄心も無く、愛と腕と智恵と喜びにあふれている。分かりやすく言うと、僕は近いうちにThe Bluebloodsの他のアルバムも買おうと思っている、または、自分のバンドのメンバーに聞かせたいと思っているということだ。 彼らはNashvilleのバンドだ。The Fairfield Fourもそう。調べてみたら、Nashvilleには素晴らしい有名でないバンドがいっぱいいることがわかった。過去に南部を旅したときに、何故かはずしてしまった街なので、今度無理矢理行こうと思う。 バンドに加えて、バックアップシンガーの女性二人もすばらしい。 彼らはThe Fairfield Fourのリーダー、Sam McCraryの娘さん。彼らの唄のダビングの時、Isaacは奥さんが入院していて、彼女と一緒にいたいということで、プロデューサーの心配をよそに、こう言ったという。 「あの二人はまさにこういう歌を聴いて育ってきたんだ。何の問題もない」 何の問題もなかった。それどころじゃなくて素晴らしい。掛け合いなど、一緒に歌ってないとは思えない。 Isaac Freemanは譜面が読めない。教会、アカペラカルテット、そこでの経験が彼の先生だ。15才からこの声で歌っているという。「神さまが与えてくれたこの声を、私は追求した。それだけさ」 ゴスペルとは何かをどんな言葉で言い表そうと、この簡潔な言葉に勝てない。
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