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クール・ストラッティン / Sonny Clark
2006.6.9 TOCJ-6401 ¥ 1,500 (税込) CD
クール・ストラッティン / ブルー・マイナー / シッピン・アット・へルズ / ディープ・ナイト 


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かつてアナタのクラスに、勉強が出来るわけでもなく、かといってスポーツ万能という訳でもない、勿論ルックスだって中の下ぐらい。だけど何故か女子から人気があってモテまくりの奴がいなかっただろうか?

私のクラスにはいた。悔しくなって本人に「お前何でそんなにモテるの?」と聞いたら「え?俺、持てないよぉ〜」と、本気で照れ笑いをしていた。

それを見てもっと悔しくなったので、今度は女子に「アイツって何であんなに人気あるんだろーね」と聞いてみると、女子の答えは「面白い」「優しい」と来た。

最初は腑に落ちなかった私だが、実際に男として、1友人として彼と話をしていると楽しかったし、彼はこちらがどんな話題を出しても、いつも「うんうん」とニコニコしながら聞き、話題の最後に「それはこうなんじゃないかな?」と、短い言葉で適切なアドバイスや的確な指摘をしてくれた。

それもただ当たり前の事を言うだけじゃなく、時に厳しく、時にホロッとさせるような、なかなか深く、オリジナリティのある答えを彼は持っていた。

だから彼がモテる一番の理由は、カッコイイとか頭がいいとか、そういう華やかな事ではなく、人間としての暖かさに因る魅力だったのだ。そういえば彼を頼って話し込んでるのは、女子だけじゃなかった。

ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」を聴くと、何故か彼の事を思い出す。

ジャケットの秀逸さもあって、ご婦人方を中心に何かと人気が集まる作品だが、中身は華やかな人気や華のあるジャケットと裏腹に派手さはない。

むしろ私の好物(?)であるところの「地味だが味わい深い愛すべき小品」的な、一見地味だが尽きぬ味わいこそが魅力なところが、「愛すべきイイ奴」だった彼と微妙に重なる、いや、彼にはこのアルバムのジャケットのような華はまるでなかったが(笑)

ジャズ聴き初めの頃は「クール・ストラッティン?んなもん女子供の聴くアルバムじゃあ!」と、突っ張っていたが、妻(当時彼女)が好きで良く聴いていたので表立って突っ張る訳にもいかず、何かこっぱずかしい思いをしながら聴いていたことを思い出して、今こっぱずかしい。こんな思いをするぐらいなら、ジャズ聴き初めの頃にあそこまで中途半端に突っ張らず、素直に「おぉ〜、カッコイイ曲だ。うわっ、マクリーンのアルトたまんねぇ!!」と、感じた事を素直に口に出して楽しめば良かったと思う。

このアルバムの最大の武器は、演奏者達の個性溢れるプレイではなく、収録されている楽曲の素晴らしさだ。

クラークが書く曲はこの時代の最も典型的なハード・バップ、つまり”ファンキー”と呼ばれる、リズミカルでキャッチーなリフが活かされた、すこぶる親しみ易い構造を持っている音楽の流れを汲んでいるが、彼の書く楽曲の個性的なところは、ファンキーさやキャッチーさをうっすら覆ってる「哀しみの膜」があること。

クラークの弾くピアノも楽曲と同じくファンキーでキャッチーで、そして儚く哀しい。さらにはジャッキー・マクリーンという「哀愁大王」と、アート・ファーマーという「まろみ大臣」の二人が参加していることによって、クラークの曲はますます切ない”青さ”でベッタリ塗られ、クラークの楽曲という最高の”場”があることによってマクリーンやファーマーの個性が”3割増し”になって更に青く、やるせない輝きを放つ。

というわけで、人気や知名度に騙されてはいけない。「クール・ストラッティン」は、「女子供が聴くアルバム」どころか、「男が聴いて涙すべきアルバム」なのだ。


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2006/5/1 高良俊礼
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