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朝によく聴く。 “チェット・ベイカーは夜に限る”と言って憚らないジャズ喫茶のオヤジもいるにはいるが、私にとっては朝。 だって、<ザッツ・オールド・フィーリング>の出だしのソフトなトランペットと、メリハリの利いた、どこまでも“陽性”なラス・フリーマンのピアノだよ。 まだ覚醒しきっていないボーッとした頭で、コーヒーを入れ、タバコに火をつけて、軽やかで良い具合に力を抜けたサウンドに身を任せていれば、次第にご機嫌な気分になってくるというもの。 温いタオルで顔を吹くような、刺激は少ないけれども、心地の良いチェットのヴォーカルも寝惚けた頭を軽くマッサージしてくれる。 このアルバムの“湿気を含まないマッタリさ”は、ゆっくりと胎動し始める静かな朝の空気にはピッタリ。 2曲目の<イッツ・オールウェイズ・ユー>が流れ始める頃は、少しずつ覚醒しはじめた私の頭と、静かな朝のスローな時間がゆっくりとシンクロしはじめるのだ。
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| 「歌う気は・・・あるのでしょうか?」と、思わずツッコミたくなるほど、 ただ淡々とメロディを口ずさむ巨匠。 しかし、湿度が高くそれでいてクールに甘く浮遊するその歌声は他に類を見ず、 常に「なぜ」という単語と共に評価されてきました。 誇れるようなテクニックを持たずして“なぜ”あれほど聴衆を魅了できるのか。 酒と女と麻薬に溺れる人物から湧き出る音楽が“なぜ”あれほど繊細に艶やかなのか。 そして最期の“なぜ”は1988年にやってきます。 チェット・ベイカー58歳。ドイツ、アムステルダムのホテルの窓から転落死。 彼の遺体はトランペットとともに 路上で発見されました。 そして主亡き後の部屋からは、大量のヘロインが押収されたようです。 自殺、他殺、事故・・・噂は噂を呼びましたが、巨匠が泊まっていたのは2階。 いくらなんでも、2階から飛び降り自殺っていうのは ちょっと・・・。 なんにせよ、破滅の人生を自ら選択し、そして全うした巨匠。 ドキュメンタリー映画「Let's Get Lost」完成直後の死でした。 ──────────────────────────────────── 【偉人に学ぶ─ダメ人間の美学】 8/7号より抜粋 http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000094229
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