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サムホエア ビフォー / キース・ジャレット・トリオ
2000.2.9 AMCY-1277 ¥ 2,100 (税込) CD
マイ・バック・ページ / プリティ・バラッド / ムービング・スーン / サムホエア・ビフォー / ニュー・ラグ / モーメント・フォー・ティアーズ / パウツ・オーバー / 君に捧ぐ / オールド・ラグ 


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 僕が高校生の頃のことで、大阪や神戸のジャズ喫茶によく出かけていたけれど 、地元の尼崎にもジャズ喫茶があるんだということを知って、友人と二人で行ってみた。ごく普通の純喫茶って感じのその店でかかっていた曲が「マイ・バック・ページ」だった。
 いきなりイントロが2コーラス、ベースだけが延々と聴こえてくる、なんだかわからない、けれどすごくいい雰囲気で。イントロが長くてわかりにくいのが、ジャズの一般化されないひとつの要因だと思うけれど、レコード盤の音が雰囲気を増長させて、ある世界観が形成されていて、何か惹かれるものがあった。その後に、スルリとさりげなくピアノが入ってくるのね。そこでもう、しびれてしまう。
 ボブ・ディランの曲で、ずいぶん経ってからそちらのほうも聴いてみたけれど、ずいぶん違っていた。あれはいわゆる、ポピュラーソングをジャズ演奏の素材にとりあげる手法が行われ出した最初の頃。当時の8ビートだから、今のものほどシャッキリとはしていない、ただ、4ビートではない。それがとっても斬新だったよね。
 その曲の後に、バラードで「プリティ・バラッド」がくる。小節もバラバラで和声も新しい感じの、東洋的な間のある曲で、それはキースのオリジナル。次が、彼独特の雰囲気の漂うフリーフォーム。クチャクチャ、クチャクチャ・・・となっていく、でもしっかりスィングしている、その3曲がA面なんです、レコードでは。名盤といわれるアルバムがあっても、その全曲がというわけではない(場合が多い)でしょ。でも、その聴きたい一曲または何曲かのためにアルバムを買わなければならない。僕は家にある何千枚のレコードのうち、ほとんどは片面を知らないんだよな。この前、ABC順に整理を始めて、改めて表裏、表裏と両面を聴いていって、やっとCのところまできたんだけど、それは、つまらない、資料を聴いているみたいで。なんだかわからないけれど、ぐっと捉まれる、捉まれたままに聴いて集中力がもつのは15分くらいだと思うので、ジャズ喫茶というのは、よくできているんだなと。
 今、僕自身のアルバムもCDのみの製作だけど、作るときに工夫している。CDだと、いったんかけると最後まで全部、流してしまうでしょ。でも、ここまでが片面、ここからがもう片面というふうに。次に聴くときはここから・・・という聴き方ができればいいなと。そういう聴き方をする人はいないと思うけど(笑)。
 これはライブ盤なんですが、スタジオで内輪で演奏したのかと思うくらい、そのくらいのパラパラとした拍手の量ですね、またそれが心地よい。リモコンがあったら、ふとんの中で「マイ・バック・ページ」をカチッとかけて、ベースがゴニョゴニョいっているうちにだんだん目が覚めて、ピアノが出てきたらふとんから出ようか、なんて。朝にぴったりの雰囲気の曲だと思う。
 高校生で初めてこの曲を聴いたジャズ喫茶へ一緒に行った友人は当時、右翼の思想をかじっていた。僕は音楽に耳を傾けていたいのに、「友情とは何か」「男とはどう生きなければならないか」なんてことをとうとうと語りかけてくる。何のためにかわからないことでも、自分が納得しないことでもご主人様の言うことに絶対に服従する、ある種の葉隠れの武士道。そういう話から始まって、友情とは、男子とは・・・。全くこの曲と関係はない、似つかわしくもないけれど、キース・ジャレットの曲を聴くと、彼が話していた「死ねといわれればいつでも死ぬ・・・」を、思い出してしまう。そのときは場違いな話だなと、ものすごくいやだったんだけど、今では懐かしいというか微笑ましいというか(笑)。

my song / Keith Jarrett Quartet
キース・ジャレットのアルバムにはこんな作品も。

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2002/11/6 佐山雅弘
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