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目玉は、なんといっても「枯葉」だろう。圧巻!としか言いようがない。 ハイ・テンポのリズムに乗って、サラ・ヴォーンはテーマの旋律を抜きに、最初から最後までスキャットで歌いまくる。 冴え渡ったスキャットだ。このパワフルさ、疾走感、ドライブ感がたまらない。 「ワーク・ソング」をチラッと引用しているあたりも、ニヤリとさせられる。 この『クレイジー・ミックスト・アップ』のレーベルはパブロだ。 パブロのオーナーは、言わずと知れたノーマン・グランツだ(ヴァーヴのオーナーとして有名ですね)。 パブロ・レーベルから出ていた、これまでのサラのアルバムは、ノーマン・グランツのプロデュースだったが、本作では「自由にやっていいよ」ということで、サラ自身のセルフ・プロデュースとなった。 レコード会社からの制約を受けないことが効を奏してか、アルバム全編、のびのびとしたサラの歌唱が楽しめる。 きっと、サラ自身としても、納得のゆく出来ばえだったのだろう。まるで、「わを!!」という声が聞こえてきそうな、ジャケットのポートレイトではないか。 心底嬉しそうで、まるで心が舞い上がっているような、素敵な写真だと思う。 歌うことが楽しくて楽しくて仕方がないといった表情だ。 ローランド・ハナとジョー・パスというパーソネルも、通好みというか、渋い人選だと思う。 ローランド・ハナの的確なバッキングに、胸躍るジョー・パスのギター・ソロ。 特に、「枯葉」のイントロのギターや、サラのアドリブ・パートに重なるように、ソロを弾きはじめるジョー・パスのギターは、最高にのっている。盛り上げ方がとてもうまい。 また、このアルバムの選曲も面白い。「時さえ忘れて」といったスタンダードナンバーの他に、ブラジルの歌手、イヴァン・リンスの曲が、2曲入っていたりもする。 これは、過去にボサノバのアルバムを録音した名残りからなのだろうか。 とにかく、このアルバムでのサラの歌唱は、ベテランの余裕が感じられるし、あの独特な「喉の奥で納豆が糸を引く」ような、太くて粘る声もたっぷりと堪能出来る。 エラ・フィッツジェラルドの『エラ・イン・ベルリン』とともに、私にとって は、かけがえのない「スキャット名盤」だ。
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