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| タモリさんはTVでよく「ミュージカルが嫌い」と発言しています。「お芝居してるのに急に歌い始めたりして、そこがどうもーねー」と。なるほど、それは確かに非日常的。現実問題ありえねー。魚民でツバ飛ばしながらしゃべって飲んでる途中に急に会話を歌いだす奴がいたら、間違いなく頭をスリッパで殴って、置いて帰るな。しかし、舞台の上となれば話は別。その“急に歌い始めるところ”も含めて、私はミュージカルが大好きなのです。 このアルバムは、元々オフ・ブロードウェイで2年半もの大ロングラン上演されていたロックミュージカルが映画化された、そのサントラです。しかし、「サントラかー」とあなどるなかれ、このサントラは完全に一枚のアルバムとして成り立っているロックアルバムです。曲が良い、歌が良い、そして一番私が感動したのが、歌詞が抜群に良い! それもそのはず、この音楽たちは脚本&監督&主演であるジョン・キャメロン・ミッチェルと映画の中のバンドにギタリスト役でも出てくるスティーブン・トラスクが、企画を立ち上げた時から二人で練って練って練り上げた音楽だそうです。だから映画のストーリーや場面に何の違和感もなく歌があり、メッセージが込められ、お芝居の途中で歌いだしても決して浮かない名曲たちに仕上がっています。 性転換手術に失敗して切り残された“アングリーインチ”を股間にぶら下げたままの主人公へドウィグが、失われた「もう一人の自分」を探す姿は、ド派手なファッションと過激なパフォーマンスの裏側で切なく悲しく愛おしくこちらに響いてきます。まさにそんな歌、2曲目の“オリジン・オブ・ラブ”はね、歌詞読んだだけでヤバイ。これぞ私の涙腺のタバスコ。しみるしみる、痛い痛い、出る出る涙。愛の起源を歌うこの歌詞がプラトンの“饗宴”を元に書かれたと聞いて、読んじゃったもんねプラトン、この酒でぼやけた頭で必死に。たぶん100分の1も理解できちゃーいないと思うけど、それでもやっぱこの歌詞と共通するところがきたら胸がいっぱいになったもんねー。変だな、プラトンで泣く女。ペンギンを見て泣くシロクマ。セミを見て泣くハエ。ってなんか違うか。 話がずれましたが、まあ、とにかくこのCDを手に取って歌詞を読んでみて欲しいのです。一番良いのはDVDで映画を観ることなんだろうけど、サントラだけでもこの映画に流れている想いはきっちり伝わって来ます。M5の“ウィッグ・イン・ア・ボックス”これも好きだなー。M3の“アングリー・インチ”も。こんなバンドがほんとにあったら絶対LIVE行くね。最前かぶりつきだね。 この“ヘドウィグ・アンド・ザ・アングリーインチ”は、デヴィッド・ボウイがグラミーすっぽかして観に行ったとかマドンナがリリースしたいと申し出たとか、セレブな方達のエピソードも尾ひれで付いてくるけど、何よりこの世界に触れたすべての人,一人一人の胸の中で忘れられない特別な作品になるだろうと思います。とくにロックを愛してる人にとっては。なんでロックなの? なんでスポーツや絵画や小説でなくてロックなの? その答えのヒントがチラッとだけ胸をかすめて、風のように消えてゆく作品です。 ちなみに今度日本でも舞台があるので、私もしっかりチケット取りました。見終わったときにまた映画の時と同じように号泣するかもしれません。流氷を見て泣くペンギンって感じで。
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