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| アヴァンギャルドなフリージャズのバンド、アート・アンサンブル・オブ・ シカゴの2枚組『Urban Bushmen』。初めて聴いたのは大学生の頃、ジャケッ トがミロの絵のようで、すごく好きで買ったのを覚えている(LP盤)。A面 を聴くと、パラッ、パラパラパラパラッ、トン、トン、静寂、オーゥ。なんて 入っていて、そのままで1曲20分ぐらいが終わる。変なんだよ。なんだこれ、 誰も最後まで聴かないんじゃないか、という感じだけれど、すごくいいの。ト リップするというか、ヒーリングされるというか。 2枚組LP盤だからABCDとあるけれど、僕はA面しか聴いていない(笑)。 そこでもう気持ちが十分になってしまうんだろうね。映画をビデオで見ている と、たいくつなシーンでトイレに行ったり、いろんな事をしたりすることがあ るでしょ。レコードのときはなおさらにそうで、好きなレコードをかけて、か けたことで気が済んで、お湯を沸かしに行ったりしちゃうでしょ。でもこのレ コードは、かける、そうすると、ほかのことができなくなる。20分間の、何も することができない時間が訪れる。 このバンドのリーダー格のトランペットを演奏しているのがレスター・ボウ イという人で、その人がドクターの格好、縁無しのめがねをかけて、白衣を着 てやるのが売りなんです、ステージ衣装としてはね。それをドクトル梅津、梅 津和時さんが、真似てというかアイデアを借りて白衣を着てやった。梅津さん はフリーの代表的な人物で、レスター・ボウイは彼もすごく影響を受けたとい う人。その梅津さんが学生時代にやっていたバンドが生活向上委員会というバ ンドだった。梅津さんの相棒が、ピアニストの原田依幸さんなんだけれど、国 立の音大の先輩で、僕が在籍していたときにはそろそろいない頃かな、梅津さ んと二人でアメリカに武者修業にでかけて、向こうで自主アルバムを製作した。 そして帰国後、有志を募って大きなバンドをつくって、フルバンドでフリーを やったんだ。それはウケた。ジャズフェス総嘗めが三年ぐらい続いて、ちょっ としたブームになったんだよね。 原田さんは音大のクラリネット科の出身で、もともとバスクラが得意な人な んだけど、フリーのピアニストとしても、すごくタッチの強い、尖がってピピ ッと跳ねるような音を出す。僕はものすごく好きで、原田さんの演奏を久しぶ に聴いたんです、少し前に。やっぱり、同じくすごい。ぼくは彼と同じ学校か ら出て、フリーの洗礼も受け、モード奏法にも手を染めたり、仲間にやっかま れるような儲かり方もしてと、そうやってきている間、彼はずっとそれをやっ てきた、フリーを。商業的な側面を気にしないで、自分の音楽を続けているん だと思った。 それで原田さんの音を聴いて、自分の25年間でよかったのか、それとも僕に は何か別のことがあったのか、なんてことをちょっとね、考えた。でも、僕が もし原田さんのような道を選んでいたら、多分家業を継いで、家業の傍ら大阪 でライブハウスをやっているオジさんになっていただろうからね(笑)。なん て 、あとから一生懸命に自分をなだめるために思うんですよ(笑)。音を聞 いたときはガーンと25年前に押し戻されて、国立のキャンパスに引き戻される。 けれど、これも原田さんにとっては関係ない話で、僕がとやかく言おうとも言 わなくとも、あたりまえに今の音楽をやっていると思う。音楽を聴きながら、 そういうことを感じる毎日っていうのが、いいなあ。
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