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《現代日本のルーツ・ミュージック》 永積タカシのソロ、ハナレグミの1stは まるで何か示し合わせたかのように 1曲目が『さあ 始めよう』ではじまって、 ラストは『ゆっくり眠ろう』で終わる。 とんでもなくオーセンティックな永積の歌声は、 もちろんオンリーワンな存在であることは間違いないが、 何かこれまでとは違う境地まで踏み出してしまったことがわかる。 そう、ここにあるのは、「うた」の復権の確かな予感だ。 近年のJ-POPSで際立つのは「サウンド」の台頭である。 かつてのような歌モノが溢れている、という状況ではない。 確かに平井堅や平原綾香のような正統派のシンガーは 相変わらず独自のポジションを築きつつ売れてはいるが、 もっと「みんなのうた」があってもいいんじゃないか。 ぼくみたいなひねくれものはそんなふうに感じる。 前々回、19についてのレビューを書いたときも言ったが、 永積タカシのすごいところは、彼自身、一度聴いたら 忘れられないような声と歌い方を持っているのに、 彼のつくる歌は必ずしも歌い手を選ばないということだ。 「家族の風景」を永積より上手く歌うひとはそういないだろう。 しかし、それをわかっていつつも、つい歌いたくなってしまう、 そうおもわせる「うた」の力があるとぼくはおもっている。 そこには、たとえば前述の平井堅などとちがい、 永積が「際立って歌が上手い」というタイプではない という理由ももしかしたらあるかもしれない。 もっと言えば、彼の歌はスキルよりもソウルなのだ。 だから、ソウルさえ共有できれば誰だってその世界を咀嚼できる。 実際、このアルバムでは「Jamaica Song」という、 レゲエにおけるスタンダード的なナンバーをカバーしているが カバーというよりはリミックスと言ったほうが適切なくらい、 バックのアレンジもふくめて永積色になっている。 好きな曲だから歌う。 本質はそれでいいとおもうのだ。 そこで「でもあの歌難しいから…」とか 「似てなかったら笑われるから」みたいな躊躇は、 はっきり言って愚の骨頂だとぼくはおもうし、 同時にそうおもわせてしまうアーティスト側にも ある意味での落ち度があるとも考えている。 そんななか、永積の歌う、朴訥でどこか垢抜けないけど まさしく日本の童謡や子守唄のテイストまでひっくるめて ブラック・ミュージックやカントリーと交配させたかにような 「黄色い」ルーツ・ミュージックを聴くとほっとする。 そして、聴き終わったらギターを取って、 お気に入りの曲を歌ってみる。
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