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Movies / Holger Czukay
1998.5.19 69070 ¥ 1,564 (税込) CD
Cool in the Pool / Oh Lord Give Us More Money / Persian Love / Hollywood Symphony 


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<コーランとミッドナイトエクスプレス>
  なんだか、電波の悪い古いラジオ放送を聞いてような歌が聞こえる。
 よく聞きたくてもチューニングがあわない。これが限界かな?

 旧型のラジオから祈りに似たような声が歌っている。これはどこかで、
 聞いたぞ?どこで聞いたんだ?どこだ?いつだ?
 記憶の奥に鮮明に残っている音だ。

 そうだ。映画だった。どの映画だ。中近東のような音楽だと友達が言ったな
 この映画のサウンドトラックを探したけれどなかったんだ。
 映画のタイトルは、えーと。思い出せない。何度も何度も見たのに。
 リフキという憎たらしくて情けない囚人番がでてきて、、そうだ、この映画は
 実話だった。リフキは最後主人公に舌を噛みきられて死んでいくんだ。
 ストーリーもすべて思い出せるのに、、、、
 スクリーンを思い出すんだ。猫がいる。イスタンブールブルーズを囚人が
 勝手に作って歌っていた。これがなんともほんとにブルーズしてた。

 「ここからは絶対に抜け出せない。一生ここにいたくなければ夜中に走る
  列車に乗るしかないんだよ。ミッドナイトエクスプレスだよ。脱走だよ。」
 ふ〜。安心しました。思い出せました。映画は「ミッドナイトエクスプレス」
 でした。

 私はこの「ペルシャンラブ」を時折、無性に聞きたくなるときがあります。
 そうして、この曲が流れ始めると決まって「ミッドナイトエクスプレス」の
 映画のくもったような中近東の空と朝日の光を思い出してしまいます。
 そうして、自分が無国籍のただの宇宙にいる、ただの人間。それだけが真実
 のように感じ始めます。曲が進んでくると今度は宮沢賢治の言葉や蒼い夜や
 あまりにも悲しいオレンジ色の外灯の色が見えはじめます。

 限りなく透明な夜が舞い降りて来て、その夜は降りしきります。
 しかし、それは透明ですがとってもあたたかいリズムとメロディーです。
 
 ホルガーシューカイはコンピュータやシンセサイザー音楽の祖というべき人
 です。もうずいぶん前に今やっているようなことをやっていたミュージシャンです。
 Y.M.O.なんかはこの人を神様のように思っていたそうです。

 ホルガーシューカイはむかし「CAN」というグループを作っていました。
 プログレッシブロックというカテゴリーが生まれる前からそういった音楽を
 やっていました。ラジオの短波放送をかったぱしから録音し、それをばらばら
 にして、自分の曲に入れてしまいます。
 しかし、音そのものがとっても透明であたたかさを感じさせます。
 「ペルシャンラブ」は最高傑作だと思います。

 オルガンの和音と同時に中近東の祈りのような歌が聞こえてきます。
 次に透明で心地よいリズムが飛びはねはじめ、まるで、太陽の子供たちのような
 光の粒が交錯して甘美なメロディーが流れはじめます。
 そのメロディーを知っていたかのように、短波放送から祈りのような歌が
 そのメロディーをなぞるように歌われるのです。
 まるで、シューカイのキーボードのメロディーを地球の裏側から聞いて歌って
 いるようにさえ聞こえます。

 私は地球を飛び出し、透明な宇宙へトリップしていきます。
 幾重にもおりなす光がはじける中、あたたかく漂うような気持ちになります。

 あっ賢治がいた。ガス灯だ。銀河鉄道だ。星だ。地球も見えるぞ。森が風に
 身体をゆらしている。夜の海が輝いている、光の粒が飛びはね続ける
 賢治の言葉が聞こえてきます。

 『われらに要るものは銀河を包む透明な意志 

  世界が全体に幸福にならないうちは個人の幸福はありえないんだ』


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2003/1/18 おんぴこりん
☆☆


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