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| RIDE 「NOWHERE 」 「癒し系の轟音」 実際の温度より様々な要因で、熱く感じたり寒く感じたりする時、体感温度と言うが、音に置き換えてみて私が今まで一番に体感音量が大きかったのが、ライド二度目の来日の中野サンプラザ公演だ。 とにかく胃の内容物が逆流しそうなほどの爆音で、その音はPAスピーカーからと言うよりも天井から降り注ぐ感じにホールに充満し、予想を遥かに上回る脳天直撃のハイパーギターサウンドだった。 そして、それ程の爆音の中ででも「囁きヴォーカル」が確かに聴き取れる完璧なPAミキシングであり、それは噂以上に私の鼓膜を激震した。 見た目は御利口さんの坊ちゃんが集まった仲良しバンド。 メロディーは叙情的で甘く切なく、囁くように繊細なヴォーカルが静かにハーモニーを作り出し、とにかく優等生な雰囲気なのに、何に怒っているのか、何に屈折しているのか解らないが、楽器から放たれる音は激情しているのだ。悪戯にノイズを撒き散らしているわけでも無い。ただ若さゆえ発散されるエネルギーなのだろうか。 時代はストーン・ローゼスを中心としたマンチェスターブームの頃、ニューカマーと呼ばれる優秀なバンド達が続々登場し、過剰な商業主義へのピリオドを打ち始めた。 徹底的に飾り気を無くしパッション満載の新世代ロックの始まりに私も興味を持った。その中でも特別に「ライド」には新鮮さを感じたのである。 某雑誌が大騒ぎしていた「Like A Daydream 」を聴いた時は何とも思わなかったが、メジャーからの1st「NOWHERE 」を聴いた時は正直一曲目から頭が掻き毟られた。 ライドは変化していた。想像しなかったぐらいの大きな空間にサイケギターをブチ撒いていた。 轟音はさらに超轟音となり、美しくも暴力的な独自のスタイルは、メジャーながらも商業的な向上心の欠片も感じさせない傑作を作り上げた。 ライドの音楽は、よく有る抽象的なノイズミュージックでは無く、美しく静寂なメロディが軸になっている。しかし雷の様な音なのだ。力強くタイトなドラム、うねる様に地を這うベース、今にも途切れそうな繊細なヴォーカル、そして時には黒板を爪で掻いた様にヒステリックな悲鳴を上げながら全編を覆い包む極度に歪んだギター。 このアンバランスな組み合わせが、フロントマンを持たない仲良しグループによって独特なグルーブ感を作り出している。 この後ライドは、よりディープにフレーズを反復させる事によって覚醒を導き出す手法へと変化していき、従来のブームに踊らされた活字先行ロック層の期待から離れてしまい、益々ビジネスから遠ざかってしまうのだが、それは私にとってはライドに希望する最良の姿であり音で有った。 ブームの終わりと共にバンドが終わった訳ではない、私はライドがブームと一線を画す存在で有ったと確信している。 --------------------------------------------------------------------------------- RIDE 「NOWHERE 」 脳天直撃のハイパー轟音ギターが飛び散り無志向に降り注ぐ、爆音アルバムの決定版。しかし、その音楽はあくまで美しく透明感を放ち、轟音なのに何故か癒されてしまう。若さは恐ろしく狂気だ。爆音で聴くべし!
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