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| こだまさおりは、魅力的な声で歌うシンガーであると同時に、優れたソングライターでもある。その彼女が、今回はあえて共作者との楽曲制作の作業を選んだ。 ディレクターこだまさおりが、シンガーこだまさおりを冷静かつ的確にプロデュースする構図ともいえる。 『今回は、メロディに関しては共作。アレンジャーと一緒に楽曲を作り込んでく作業は経験してたんですが、メロディとコードの素材を提供してもらって、そこから自由に曲を発想していくのは初めて。まったく新しい楽しさを感じることができた。いろいろやってるうちに、全然ちがう曲になっちゃってたりしましたけど(笑)』 こだまさおりにとっては、何がなんでも自分の曲で、というこだわりよりも、より良いモノを作るという意志が優先したということだろう。 ちょっとした日常の感情の揺らぎをさりげなく切り取ってみせる歌詞についても、自分の経験にこだわってはいないという。 『自分のことを書こうって気持ちはあんまりない。相談ってほどじゃないけど、友だちから聞いたいろんな話が反映されることもある。 もともと歌詞と曲を別に作ることはほとんどなくて、今回も歌詞を乗せながらメロディをいじってた。私にとっての歌は、歌詞とメロディと感情が全部ひとつのカタマリになってるものだから』 ひさしぶりの新曲「まひるの月」では、感情と言葉の間に横たわる距離もテーマのひとつ。 『感情ってそのまま言葉に置き換えられるものじゃないし、ただの手段でしかない。できるだけその感情に近づくために言葉を重ねてくうち、どんどん離れてっちゃうこともある。相手の心は見えないから、確認しようがない。私の心も相手にとっては同じ。それでも、やっぱり誰かを求めてしまう。真昼の空に浮かぶ月は、不確かな薄い未来の象徴であると同時に、永遠に縮まらないココロの距離でもあるのかも』 それでも、曲というカタマリにすることで、言葉と感情をもっと近づけることができるかもしれない。こだまさおりはだからこそ歌うのだろう。 『歌うってことは、もしかしたら他人の人生を左右することかもしれない。 それは恐いことだと感じることもある。けど、みんなそれぞれ、かけがえのない自分を生きてるって思うから。かけがえない、っていうのは代わりがいないってこと。愛おしさ、諦め、いろんなこと含めて私は私でしかない。そこから出発して、自分のことをもっと素直に愛おしく思えるような自分になるために、今日を生きてる』 よりストレートに自分を肯定したい。ささやかな野望かもしれないが、彼女の言葉に迷いはない。 『何かがやって来ないと曲は作れない。天から降りて来るのか、自分の奥のほうから何かが上がって来るのか、どっちなのかっていうと、上がって来る感じかな』 自然に彼女のなかから浮かび上がってくる感情のカタマリ。 それが基本にあるからこそ、こだまさおりの歌は、ひどく印象的で、親しみやすく、聴き手の奥のほうにある情緒を揺さぶる優れたポップスとして成立しているのだ。 『かけがえのない自分を生きているあなたのために、私の歌がお気に入りのアロマになることを祈っています』 こだまさおり
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