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| << 空気が動いたピアノ小曲集 >> その家の門をくぐると白い石畳が玄関へとつながっていて、なんとも 落ち着いたお家で私は少々驚いた。 さらに歩くに連れて、その石畳をライトが柔らかく点灯して足下を照らす ではないか。 私は思わず、おーっと思いながら、初めて訪れる同僚の家の呼び鈴を鳴らした。 家の奥から「どうぞ、開いておりますよ。」とこれまた柔らかい声がして りっぱな玄関を開けると、また驚いた。まるで、TVで見る高級な料亭のような 廊下が広がっている。 かすかに高炉からもれるやさしいお香の香り、一輪挿しにさしてある孤独だ けれども、その場を光を放つように咲き誇る白い花一輪。 さらに、こちらにどうぞ。と通された部屋には、りっぱな仏壇と亡くなられた お父様が書かれた不動妙に祝詞。 なんなんだこの家はと驚きつつ私は御仏壇に向かい、お経を一巻上げさせていた だいた。 そのまま、廊下を歩き、今度は客間に通された。 水車が作りつけになった1枚板のテーブル。天井は高く、木製の扇風機が ゆるやかに回っている。壁にはこの家の設計した方の見事な水墨画。 ワインクーラーも作りつけになっており、私はきょろきょろしていると 同僚が静かにお茶を出された。 まるで、映画の中の世界にいるようで私は落ち着かなかった。 このような踊りきの中この家が裁判で¥なくなるかもしれない。と悩んであって、 お邪魔させていただいたのが半年前。 このりっぱな家はお父様が亡くなられる前に残された唯一の財産がこの家だ ということをお聞きして、これはいわば形見なんだからなんとか家だけは残れば いいのにとそのときはいろんなお話をさせていただいた。 同僚の努力で家はなんとか残り、今は維持費が大変だということだった。 いろんな体験が同僚に起こり、今はすんなりお経をあげたり、見えない世界と つきあってあるんだけれど、今回は私も落ちついて訪問しているので、 いろんなことを感じた。 壁は白と腰板がしっかりのはってあり、それが異様に強く圧迫感を感じる。 私は勇気を出して 「お一人でこの部屋にいらっしゃるとなんだか、重くないですか?」 と尋ねた。 同僚はその通りで、なんだか時間に押しつぶされるような気分になります。 とのことだった。 そこで、いつこうして音楽がかかせないんです。と、カラオケセットを オーディオがわりに使ってあるスピーカーからピアノが流れてきた。 次の瞬間まるで冬の凍った部屋に夏の風が吹いてきたように、空気が動き 部屋の調度品や花瓶の花が部屋そのものに命が入ったように感じた。 私は音楽というものはやっぱりすごいな〜と感じ、ゆっくりとため息を ついた。
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