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| 前回、「金太郎飴のような」という形容詞を使いました。 この言葉はワタシにとっては、最大級のオトナのほめ言葉なのです。どこで切っても同じ、とは、芸がなく簡単なようで、意外に難しいのですよ。 起承転結、山あり谷ありのほうが創る側としては楽ちん。だって、フォーマットが決まってる、ってことですから。(同じものを作ろうったってムラができて変化ができてしまうことは、双子、兄弟の顔を見比べればよく理解ができると思います。余談です) ジェットコースターのように、急所をいいタイミングに配して息もつかせぬ構成のアルバム、ってのはねー。昔はワタシもそんなのいっぱい作りましたけど、飽きるんですねー。 10曲の歌を聴くたった40分から50分かそこらの間に、そんなにあっちこっちに気持ちを引っ張りまわされてもねー。お子ちゃまなら楽しいかもしれませんが、オトナにはイマイチなんですね。 「金太郎飴」作りの難しいポイントは、そもそもどんな形をデフォルトで描くのか、を決めるとこなんです。めっちゃイケてない顔がどこ切っても出てくるような飴でしたら、口に入れたくないですよね。 核を決めたらそれで最後まで突っ走れる、そんな強いものでないとダメなんです。アラカルトなら一曲くらいどーしよーもない曲が入ってても許せますが、「金太郎飴」の場合、ひとつアウトだと、もう契約不成立、なんです。とっとと帰社して始末書書くしかないんです。 かといって、「これでどーだ!」みたいな出世欲丸出し、背脂たっぷりのエグエグ企画でもダメなんです。それだと50分近くを完走したあとにげんなりします。 けど、さっぱりしすぎてもつまらない。それってすぐ飽きます。途中でなんか用事を思い出してしまいます。 切ってみたら超かわいーキャラで、いくらでも切りたくなって、欲望全開じゃなくて、用事を思い出さない。50分ひたれる「金太郎飴」づくり。これがこれからのオトナなロックなんじゃないっすかねー。(ワタシもがんばろう。けど道は遠い。) そんなアルバムがこれです。曽我部恵一「瞬間と永遠」。イントロ当てクイズにはまったく向かない、ほぼ同じスタートの曲がずらり。あれ、これってさっきと違う曲だっけ。とか思いながらゆるやかな川の流れのように時が過ぎます。で、退屈しません。なぜならこの川の流れは強くて深いから。メダカしかいない浅瀬じゃないんですね。水底に潜む怪物に要注意。そんな、奥の深いオトナのための「金太郎飴」です。
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