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| 人は悲しみや不幸にこそ強く共感する。 幸せっていうものは人それぞれかもしれないが、 それを実際に掴み取るのは難しく、 そしてそれを掴み取っている人が妬ましい。 それに比べ、 悲しみ・不幸は必ず誰しもに降りかかるものだから、 大きい小さいに関わらず共感し、 そこから何かを得て次へ踏み出していく。 Eこと、マーク・オリヴァー・エヴェレット率いるイールズ。 その傑作セカンド 「Electro-Shock Blues」 と、 続くサード 「Daisies Of The Galaxy」 が多くの支持を受けているのは、 肉親達の相次ぐ不幸・死にエネルギーを貰ってEが作った、 「ネガティブに共感できる世界」 のアルバムだったからということが大きいのだろう。 もちろんEの抜群な音楽センスが大きいのもあるだろうが。 けどこの5作目 「Shootenanny!」 はちょっとちがったオーラを放っている。 暗さは残しつつ、そこから明るいほうへ歩くということをしている。 最近、こっちのイールズの虜である。 相変わらずEはEのまま、 「幸せは長く続かない」 と歌い続けている。 ただ、彼はそんな中でも、出会い・経験することで音楽を成熟させてきた。 セカンド、サードの頃のように他人の死に出会わなかった本作は、 世を憂い、 皮肉な真理を歌いながらも、 彼は嬉しそうに高揚しているように聞こえる。 彼は相変わらず不遇を歌う。 でも、もう直接な死を歌いはしない。 「不幸を知る者が幸せも知る」 っていうことを、 しゃがれた声の裏に潜めて届けてくれる。 ニルヴァーナやガンズが、欝やドラッグにこそロックの定義があると示したから、 ロックはいつしか不幸や不良なものの中にこそ、 その真の姿があると信じられるようになってしまった。 だが、違うんだな。 不幸の中にも少しある、 1つの新しい経験、 1つの出会い、 1つのほのかな幸せ。 その瞬間に生まれるちょっとした心の高揚。 その中にこそ心揺れるロックってやつがあるんだと思う。 Eが昔よりもずっとポジティブにネガティブを引き受けて次へ踏み出しているから、 このアルバムは、そんな心揺さぶるアルバムなのだ。 「時として人生は、やたらとうまくいき、 それまでの苦労も一気に報われるもの あの時もそうだったけど、僕はわかっていたんだ いいことはいつまでも続かないって」 (Dirty Girl) 「みんな承知だよ、今はどうにも厳しい時代 僕はなんとか生き抜いてやる どうにも厳しい、この時代」 (Rock Hard Times) 5曲目 「Dirty Girl」 、 7曲目 「Rock Hard Times」 は必聴。 今幸せな人も、現在不幸だという人も、全員ひっくるめて聴きましょう。
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