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SPIRAL / 篠原美也子
2003.8.20 DDCL-2003 ¥ 3,200 (税込) CD
青 / ひとり / Dear / 風の背中 / LIKE 17 / 名前の無い週末 / 前髪 / You're so cool / 冬の夜 / Life is a Traffic Jam / 愛している / 誰の様でもなく / S 


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ずいぶん、ご無沙汰してしまいました。はい、こんにちは。優雅ではない兼業作詞家 みど でございます。最近、あいつレコメンドしてないよななんて誰か気にしてくれなかったかしら? と自意識過剰気味で言い訳を。いやぁ、最近、ジムと英会話にはまってまして、どうも時間があるとジムに行き、スピニングなんてやってみたり、暇があれば何度目かのリベンジ(なんのための)で英語をものにしようと必死でした。ははは。


では、今回のレコメンド作品は、紹介しようと思ったまま1ヶ月半ほど寝かせていた作品です。シンガーにとって自由であり、そのぶん厳しい時代になってきた最近。それは、メジャーとインディーズの境目がなくなって来たという現実。これからのアーティストにとってはインディーズで自分の力を試し、ヒットチャートへ躍り出て一気にメジャーデビューへという可能性が以前よりずいぶん高くなった。しかし、それと反対に以前メジャーで活躍したアーティストがインディーズへ転向する例も増えている。転向というのは綺麗な言い方だ。本人の言葉を借りればリストラと言う。紹介するCDは篠原美也子「SPIRAL」。デビューは10年前、平成の中島みゆきと称えられ華々しくデビューを飾った。しかし、現実はいつも予定とは違うものだ。彼女は6年後、メジャー契約を終了させた。

その時、すでに30歳という年齢を越えていた彼女はいったい何を考えたのか? このCDには彼女がかつて書いた文章もあわせておさめられている。自分を野球選手に例え、契約延長を望む一心で自らを殺して作品を作ったことも記されている。分かる気がする。繋がっていたい気持ちになれば人は自分のオリジナルさえ捨てるときがある。しかし、その形で成功できるのは20代までだ。もし、彼女がその時25歳ならそのやり方の先に別の成功があったかもしれない。用意された形の中で成功させて、それからオリジナルを叩きつけるやり方。しかし、30歳という川を渡るともうそのやり方は通用しなくなる。確立した自我。確立した自分。それに責任を取る必要があるのだ。

しかし、リストラされた彼女が、新しい自分の場所を見つけるまでに時間はかからなかった。同じ境遇のアーティストは少なくはなかった。自分の思うままの絵を描いても彼女についていきたいと思う人々はいた。

このCDには、彼女のデビュー曲からデビュー10周年を迎えるまでに書かれた13の形が収められている。自信満々だった頃の曲、おそらく迷い始めただろう頃の曲。なぜか、自信満々だった頃に書いた曲が、迷う彼女を救ったのではないかと思うものもある。将来の自分を知らずに書いたメッセージが自分に帰ってくる。そんな例だ。そして、彼女は解放された。自分らしい音を言葉を再びつなぎ始めた。

ライブで聴いたアルバムにはまだ収められていない最新の彼女の曲には、以前のような孤独感はない。だからといってただ、Happyなわけでもない。過去のひとつひとつを噛み締めた上で、感じている今を歌っている。痛みを知らなければ分からないことがある。今、痛みの中のいる人、迷いの中にいる人にはぜひ、聴いてもらいたい。いやぁ、なんとかなるかもって思えるからさ。「信じれば夢は叶う」なんて無責任に歌う歌詞に辟易しているならなおさら。途方もない夢を語るのは20代までだ。そこからは、自分に責任を持って、夢を語るべきだ。そして、苦しくても自分を信じて、押すだけでなく、たまには引いて、流れに任せてみてもいい。たどりつける場所がきっとある。そう思える一枚だ。


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2003/6/16 伊藤緑(みど)
☆☆


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