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| 脊椎から凍りつく程の畏怖の念を感じた。 ケイト・ブッシュ。説明不要の大御所アーティストであり、常人離れした才能の持ち主であり、時に狂気さえ感じる作品を世に送り出している女性である等と言う情報も既に仕入れていた。にも関わらず、実際の初めて彼女をPVで観た時の驚きと恐ろしさといったら・・・! そのPVとは「神秘の丘」 ケイトが男性とペアでひたすら優雅にバレエの様な舞踏を踊っているアレです。 ケイト達の舞踊は全く人としての体重を感じさせずに、ふわりふわりと宙を漂うかの如く舞っている。妖精?霊魂?はたまた神々?何かその存在を証明できない事象を目の当たりにしてしまったような恐ろしさでしばし震えが止まらなかった・・・。怖い!しかしなんて美しいのだろう・・・! 怖くて美しい映像がそのまま観えてきそうなのがこの「ケイトブッシュストーリー」である。恐れおののき震えながらもあまりの美しい音色と歌声に身も心も奪われてしまうことでしょう。PVを知らなくてもなんらかの映像が観えてくるでしょう。美しく見た事もない素晴らしい映像が、きっとあなたの心にも届くことでしょう。
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才能と狂気の間 僕の古い飲み仲間で、酔っぱらうと「高校生の頃は、ケイト・ブッシュが世界一綺麗だと思ってたんだよなあ。」と嘆息をもらす奴がいる。何かに(ほとんどの場合、恋愛に)落ち込んだ時なので、「だから俺はこんなことになるのかなあ」と続くことが多い。他人の女性の美醜の基準について意見するほどの、経験も勇気も僕は持ち合わせていないけれど、その話を聞くと、いつも笑ってしまう。 そして、僕自身も彼女の歌声に魅せられた男の一人ではある。 音楽に関する仕事をしていると、気が狂っているとしか思えない人に遭遇することがある。私の親しい音楽事務所社長は「毎日の生活が幸せだったら、音楽にのめり込んだりしないでしょう? 僕らは寂しい人相手に商売してるんだから、多少のことは仕方ないよ。」と言っていた。確かに、そういう側面はあると思う。業界人だけで飲むと、キ××イファン(業界言葉ではガイキチワンフーと言いますね。乾杯はルービで、深夜の帰宅はシータクでとかと同じでイヤな感じの言い方)のこわーい話で盛り上がることがある。そんな話を聞くと、笑ったり背筋を寒くしたりしながら、僕はいつも「でも、グラデーションだな」と思う。そのキ××イと言われている人は、全然違う人種、違う国に住んでいる人ではなく、僕より少しだけ、バランスを崩している人なんだな。真っ白も真っ黒も無くて、ほとんどは灰色で、灰色の濃さの違いのような気がする。僕だって、自分のことを完全にまともだと言い切る自信はない。むしろ、精神のどこかが崩れているから、こんな人生を選んでいるのだと思う。だから僕は、精神病院に入ってしまった人を、「差別する」ような感覚は持てない。 なぜなら、僕が敬愛するアーティストには奇才と呼ばれる人が、たくさん居るのだ。彼(女)たちは、たいてい自分(しばしば強いナルシズム)を自分で持てあましていて、常軌を逸している。その崩れたバランスが、表現に全てフォーカスされた時に、すさまじいエネルギーになって、その才能が感動させるのだと思う。 才能と狂気は紙一重だとよく言われる。Kate Bushは、その紙一枚もない、とてもわかりやすく奇才だ。女としては、絶対に恋愛関係になりたくないタイプ。刃物より鋭い言葉と視線で、生活がかき乱されてしまうこと間違いなしだ。 ご存知の方は驚いたと思うけど、「恋のから騒ぎ」という、着飾った、ちょっと品のない女の子達を、明石屋さんまが巧みに"いじる"日本TV系列の番組のテーマ曲が、Kate Bushの「嵐が丘」なのは、かなり悪い冗談で、僕は好きだ。 いずれにしても、実生活ではご免だけれど、作品を通じて彼女の狂気に魅せられるのは、悪い気分では無い。 定期的に振られて落ち込む彼を、実は、いつも同じ言葉で慰めている様な気がする。「お前を振ったあの娘は、Kate Bushほどは、いい女ではなかったよ」と。
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