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< 耽美・繊細・ダイナミック > 美しい万華鏡を見ているような、うっとりとした時間の流れ。 このアルバムには間違いなく魔法が宿っている。 それもとんでもなく計算しつくされた、強烈な魔法が。 私達はそれに一瞬にして心を奪われるのだ。 目の前を通り過ぎる音たちが、時に足早に、時にゆっくりと、 脳裏まで駆け巡る。 菊地成孔は天才だ。 そう言い切ってしまいたい。 あまり天才という言葉をやたらと使いたくはないのだけれど、 彼は間違いなく天才という言葉が相応しい人間である。 天才たるもの、そうそう人に理解してもらえない。 デートコースペンタゴンロイヤルガーデンの音楽もそうだ。 難解と言ってしまえば難解だし、理解しようと思えば難しい。 しかし、全ての音は、確実に一枚のCDの中に収まっている。 『芸術作品』として完成しているものを、 ただ、私達は見て、色々と考えれば良いのだ、と思う。 それだけが、ただ唯一受け取り手に残された課題、だと思うからだ。 例えば、美術館で素晴らしい絵画を見ているとき、 それがどういった背景でもって描かれたなんて、 見ただけではわからないだろう。 ただ、その絵が素晴らしい絵であること、 それを書いた人間が素晴らしい人間であること、 それだけが分かれば、それだけで十分であると思う。 ただ、鑑賞した人々がおのおのに『この絵は素晴らしい』と思えれば。 それだけで、絵を書いた人は報われるだろう。 どんな音楽でも受け取り手があって、初めて完成し、完結する。 そんなありきたりなことを、まざまざと考えさせられてしまう、 もはや『芸術』としか呼ぶことのできない、 音楽がここにはある。 これを、一枚のCDで手軽に聞いてしまえるのは、 どうかと思うが、なるべく、CDの流れている間、 ボーっとしないで、音の一つ一つに酔いしれ、 感覚を研ぎ澄ませていたい、と思える音楽だ。 時間をかけて味わおう。 熟成されたワインが美味しいように、 長い年月をかけて聴き続けるこの作品もきっと味わい深くなるはずだ。 ただし、心して聴きたい。 芸術とは、生半可な気持ちで味わうものではないからだ。 音楽といえば、ロックとテクノぐらいしか知らない、私ですら、 こう思えるのだから、この作品は素晴らしい。 ジャズを敬遠していたアナタは今すぐ出会うべきですよ。
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