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90年代の遺物の中の異物。 90年代、という中途半端にちょっと前の時代の、ジャングルとかドラムンベースとかさかんに言われていたような頃の音楽というのは、ほぼリアルタイムでそれらの音楽を体感した私の場合、2000年から早4年もたった今でも時々ではありますが、無性にそういうのを聴きたくなる時があって、4heroあたりを引っ張り出しては浸ってみたりすることがあります。 しかしながら、それらはいわば賞味期限が少し過ぎたコンビニのオニギリのようで、あじわいはあまり変わらないけど気分的にちょっと萎えてくる感じがするのも事実で、まあそういった痛さ加減がその時の気分で気持ち良かったり良くなかったりするのですが、つい最近3桁の値段で買った、97年に出たというこの作品「Forest for the Trees」は、最近聴いたから、というわけではありませんが一抹の軽いショックを受けたのであります。 最も、この作品は前出のジャングルとかドラムンベースではありません。予備知識なく買った自分は無知だったのですが、この作品を作った中心人物のカール・スティーヴンソンという人物はベックの「loser」の共同制作者であり、ベック自身にも大きな影響を与えたという、90年代の、いわばキーパーソン的存在のキーパーソン、なのでした。実際しょっぱなの「DREAM」から、ラップにバグパイプにインドの民俗音楽にと、かなりムチャクチャな組み合わせでありながらいたくドリーミーな感じで、その感性は確かに「メロウゴールド」や「オディレイ」の頃のベックとリンクするものがあります。ただし、アルバム全体を包む退廃感やパンクな雰囲気はポップな方向へと完全に昇華せず半ば放置プレイ状態にあり、結果、聴いていて盛り上がりつつも、心のどこかに何かのしこりを感じさせるようなところがあり、それが雑食的な音楽性や微妙に古めなリズム感覚とあいまって、いかにも90年代、という気分にさせてくれます。ところが、この90年代的な雰囲気がこの作品の場合は総合的にプラスの方向へ作用していて、なんだかんだで最後まで楽しく聴けてしまう、そんなところが、自分がこの作品から受けた一抹のショックなのであります。特に、途中でいきなり「石焼ぁ〜きイ〜モ、おイモ」とかいう日本語が流れてくるあたりは、かなりタマランものがあります。 まあそんなわけで、ベックのファンの方は漏れなく必聴。後、冒頭の曲「DREAM」は、一昔前からFM放送を聴いていた方なら必ず一度は聴いたことがあるような、ちょっとしたヒット曲なので、「ああ、この曲は聴いたことがある!」と、ひざを叩いてみたい方もどうぞ(こういう時、実際にひざを叩いた人を見たこと無いのですが)。中古では比較的安値で売られているっぽいです。セールスマンみたいで恐縮ですが、今がお買い得かもしれませぬ。
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