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大貫妙子さんの呼吸は、丁寧で優しい。歌い方は、口元にある空気を上手にすくって、ふわっと吹いているみたいだ。それも、トランペットではなく、フルートを、それもピアニッシモで吹くような、力加減で吹いているみたい。 <雨上がりの街に虹が架かった朝 気付いたの ほんとうはとても好きだったと> こんな出だしで始まる「虹」は、ゆったりとしたテンポを持つ。そこに浮かぶ大貫さんの歌詞は平易で、りきんでいない。歌声がそうであるように、穏やかだ。大人の女性の、例えば母親の、ふくよかな感情を思い出す。 曲に景色を与えているのは、ハープの音色だ。ハープが弾かれる度に、雨上がりの道にある草の、葉っぱの上に、水滴がぽつんと落ちて、弾いている情景を見つけてしまう。大貫さんの歌は、その葉っぱ一枚一枚を、そっと揺らす風のようだ。風が吹く先には、虹が出ていて、私たちをそっと見ている。大貫さんが、聴いている私をそっと見ているように、歌を歌うのと似ている。 <そう 私たちは越えて来たこと 知ってる 自分の弱さも 強がりも 今なら許せることを> この歌詞のように、虹は、全てを許してくれるように空に咲いているのだろう。歌も、全てを許してくれるように咲いているのだ。大貫さんの歌を聴いていると、そんな気になってしまう。それは、彼女の歌声の持つ、優しさの成せる技だろう。 優しさは、虹のようにどこまでも長く、伝わっていくものだ。
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