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《この街のアンテナはそっちを向いているか》 先行シングルだった「ロックンロール」の初回特典DVDを観たとき、 もうなんというか、やばすぎてやばい。 正真正銘、日本のナンバーワン・ロックバンドだとおもった。 ロックンロール・モンスターのようなくるりがそこにいた。 生で観たのは4年前の世田谷線ツアーのみだけど、 いやはやもう、なんというかあのころはモックンがいて、 達身のかわりに辻村兄がギター弾いてたんだった。 いやはやいやはや。 もうそんなことを口ばしるしかない。 クリストファーはドラムと子供のように完全に戯れていた。 叩きながらあんな顔できるひとは見たことない。 強いて言えばアート・ブレイキーくらいだ。 達身はふらり仁王立ちする死体のようだった。 ロックの抱える虚無も闇もすべて受け止めたまま、 静かに宇宙空間を浮遊するロックの殉教者のように。 佐藤くんは確実に今のこのバンドの柱だ。 これまでずっと岸田の妄走で成り立ってきたくるりは、 明らかに変化した。それだけは言える。 岸田は人間とはおもえなかったが一番地味だった。 そのこと自体がまず非常な驚きをもって感じる事実だった。 粘着質の雌雄同体の生物のようでいて、けれどもっとも普通だった。 普通の岸田は怖い。 いやもう、暑苦しいくらいすごい波だった東京。 いつもよりベースを前面に押し出したアレンジや、 スライドギターのせいだけではないだろう。 強烈というよりも荘厳なメランコリアが大きな渦となって ZEPP TOKYOをひとつの祭壇にまで引き上げていた。 ワンダーフォーゲルがアンセムである理由がようやくわかった。 きっと鹿野さんやジャパンのスタッフはくるりのライヴを ずっと観続けていたから、そのことをわかったんだろう。 おれはそのときようやくわかった。 岸田、佐藤、達身、クリストファーの4人が がっぷり手を組んだ最初で最後のアルバム「アンテナ」。 ここには、シカゴ音響派や、デトロイトテクノや、 アイリッシュトラッドや、浪曲や、ロックンロールや、 数限りない音の種子がぎっちり詰まっている。 それぞれが顕在化しているわけではない。 だが、これまで世界中で鳴らされてきたすべての 普遍的なるグッド・ミュージックの魂がここにはあって、 きっとくるりはそれらと諸差しで組み合ったのだ。 音楽でモノノケになる覚悟がないなら音楽をやってはいけない。 このアルバムのくるりは、確かにモノノケであり、神であり、 マレビトであり、なんやようわからんがスピリットだった。 そしてそのスピリットは、クリストファー脱退という節目の後も おそらくは変わりなく受け継がれていくにちがいない。 極端にいえば、もう岸田と佐藤さえいればくるりはバンドだ。 いい音楽なら簡単だ。 才能と運があればつくれる。 才能は訓練で獲得できるし、運は注意して見てさえいれば誰にでもまわってくる。 けれど、いいバンドになるってことは、ひとつの音楽の真理を手にするということだ。 普遍的なそのコードの一部を自分たちが獲得するってことだ。 そんなバンド、日本にいったい今いくついるよ? くるりくらいだ、そんなことできるのは。
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くるりの『アンテナ』が、ようやく我が家に設置された。これで、私の部屋はいつでも、どことでも繋がってゆける。 アメリカ製ドラマーのクリストファーの加入によって、くるりは、久しぶりに会った親戚の子供のように急成長していた。技術的な面でも、明らかに上手になっている。特に、佐藤君のベースがくるりを引っ張るようになったんじゃないかなぁ、というのは大きな発見だった。その辺は、聴いて確かめてくださいね。 くるりは、今がピークなのかと思わせるくらいに、調子が良い。3月14日に、タワーレコード新宿店主催のくるりのフリーライブに行って、それを、私は、間近で見た。「お客がいるの忘れてんじゃないの?」と小声でつっこみを入れたぐらい、彼らは、気持ち良さそうにプレイしていた。身体をくねくね動かしながら、四人が全員のリズムを感じていて、「俺ら、最高や!」という匂いをプンプンさせていた。 あれは、自画自賛ライブだ。尊敬する歌人の枡野浩一さんのお言葉「ひとりよがりのセックスもあるし、まわりの人を楽しませるオナニーもあります」(「かんたん短歌の作り方」より)を思い出した。 『アンテナ』の中で、岸田君の綴っている言葉は、とても的確だと思う。私が言いたいことでもあるし、私が聴きたいことでもある。いずれにせよ、ここには、私が存在してくれる。私の入る余地がきちんと用意されている。私も、自画自賛の仲間に入れてくれる。「花の水鉄砲」なんて素敵な単語、自分の語彙にはなかったけれど、きちんとここには、私がいると思えた。 私はそういう歌が聴きたい。そういう歌を広めたい。 楽しいことや暖かいことだけで暮らしていけるはずなんてない。けれど、息をしている間は、そういうことにアンテナを向けたい。常に自分が素晴らしい人間である訳がない。けれど、ちょっとでも良いことができたら、自分をきちんと褒めてあげなくちゃ。アンテナは、そうやって使う。だって、いつでも、どんなとことでも繋がってゆきたいでしょ?
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| 久々に『届いた!おかえりなさい!』て感。 『図鑑』以来の濃密さ。 音的には『さよならストレンジャー』に近いのだけど、 ぐるぐると経てきたその時間のようなものが、 のっさりとそこにあって、 その中で自由に、ゆったりと泳いでいるようです。 そうゆう場所をみつけた感がわしわしとあります。 肌に合う水を得た魚。 アンテナから発信されたものは確実に届きました。 心が躍るのです。
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春です。何故か彼等の曲を聴くと、春を感じるのです。 新たなドラムにクリストファーというメンバーを迎えたこのアルバム。 彼等の音は以前と、何の変わりもなく、私の時間の流れを変えてくれるのだ。 だから春なんだろうなぁ。 彼等の音には、時間の流れを緩やかにする力があるのだ。 それは、声なのかもしれないし、音なのかもしれない。 ただ、私のわかることは、本当に時間の流れが変化するという事だけなんです。 その時間の緩やかさが、私に春を感じさせてくれるのです。 ここ最近、暖かくて、このアルバムを聴きながら電車に乗ってると、 外を見たら、桜が咲いてるんじゃないかってぐらいに春を感じてしまいました。 彼等の音は暖かくて、でも、ぼやけてないっていうか。 飴と鞭が同時にやってくるみたいな雰囲気なんですよね。 暖かいのと同時に切ないんです。 好きな人といるのに、「あ〜、私と彼の距離が遠いなぁ。」 って感じる時みたいなかんじ。 もう一個例えるならば、卒業式とかなんかな? 新生活への希望もありつつ、今まで仲の良かった友達と離れないかん。みたいな切なさかな? こんなに幸せな季節なのに、なんで私は切ないんでしょうか? みたいなね。 ちょっと、ヒロインぶってみたくなる感じですわ。 きっと彼等の佇まいも影響してるに違いない。 あ〜、うまく言葉に出来ないんですが、とにかく切ないくせに暖かいんです。 春なんですよ!
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