
ジャーマン系(ドイツ)の音楽の中には、現代の音楽シーンにも充分通用するだけではなく、それ以上のクオリティと存在感を放つ作品が多いそうです。実際、自分もそうした作品に触れる楽しみを既にいくつか体感しているのですが、そういった作品群の中でも、「比較的他人にオススメしやすい」、「何年経っても色あせない新鮮さ」、「主観的に好み」の三点を完全に満たすものとして、自分が真っ先に思いつくのはこの作品であります。メビウス-プランク-ノイマイヤーの「ZERO SET」。
70年辺りの前衛的なジャーマンロック・シーンでそれぞれのキャリアを積んできたメビウス・プランク・ノイマイヤーの三人が82年に寄り集まって録音されたというこの作品は、ノイマイヤーの変態的なドラムプレイに、メビウスの電子音が鳴り響くという、今で言うとテクノのような音楽、というか完全にテクノです。冒頭の「Speed display」なんか普通に踊れます(むしろアッパー過ぎてヤバイくらい!)。音の粒が身体を直接揺さぶる、その質感はサイケではなくアシッド。クラブミュージックの持つグルーブ感を、82年の時点で当たり前のようにやってます。CD屋でテクノの棚に「新作」のラベルをつけて置いてあっても全然違和感なしです。
ただしこの作品、単に"テクノの優良作品"で終わらせるには、ドラムの音があまりにも生々しい。普通のドラム演奏から発せられる生音をそのまま録音した、というレベルではありません。この作品から発せられるのは、「さばきたてですので、まだ心臓動いてます。」、あるいは「もぎたてです。かぶりついて頂くとおいしいですよ。」というくらいの、まさしく"生"の感触。ソコがこの作品のすごい所だと自分は勝手に思ってます。
テクノ的でありながらここまで生々しい感覚を作り出したのは、エンジニアであるコニー・プランクの音響技術によるところが大きいようです。現実に三人がどの位の割合でこの作品に関わっていたのかについては自分は知る由も無いのですが、この生々しさは普通に録音したのでは表現できない事は、音響に関しては素人レベルの自分でも明らかに認識できました。音響技術がここまで音楽表現に直結した作品は、この時代の後にも先にもめったに無いのではないかと思います。また、そんなところを意識しなくてもテクノとして充分に楽しめる作品だと思います。是非聴いて下さい。
- Monster Movie / Can
- ジャーマン系で「何年経っても色あせない新鮮さ」を持ち、「主観的に好み」な作品は多いです。ただし、あまりにも個性的なのが多く、「比較的他人にオススメしやすい」となると結構難しいのも現実です(笑)。CANの作品はとっつきやすいですが、作品ごとに音楽性が少しづつ違うので、どれをオススメすればいいかというとやはり難しいです。年代順に一番古いこの作品からオススメするのが一番いいのかなあ、と現時点では思っています。
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2004/5/13 虚空猫
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