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| チャールズ・ロイドはどういう人なのか実はあんまり良く分かっていない。伝記も残っていないし、インタビューにも、すっとぼけてちゃんと答えない感じなんだよ。たとえば、これは和田アキラのエピソードなんだけど、「どうすればギターを上手く弾けますか?」という問いに対して、「新しいギターを買ったら、触らないで押入れに一ヶ月ほど寝かしておくと、ちょうどいいんだ」とか答えちゃう。つまり、聞いてもしょうがない質問だろ?と遠まわしに言っているんだけどね。チャールズ・ロイドはそんな人だったらしい。 でも彼の足跡はすごい。60年代はすごく斬新だった8ビートを刻んだり、出てきたばかりのバーカス・ベリーっていうピックアップマイクをベーシストに使わせたりね。当時は、そんなマイクをつけるのは邪道だといわれていたんだけど、いち早く使った。伸びる音で、サウンドがなんか良かったんだよな。で、そんな彼の奔放さが花開くのがこのライブ盤なんだ。まだ若いキース・ジャレット(p)をはじめ、ジャック・デジョネット(ds)、セシル・マクビー(b)といった活きのいい新人を使っている。新人たちに好きにやらせて、手柄は全部チャールズがとる(笑)、なんてね。 このアルバムに「Forest Flower」って曲があるんだけど、調がメジャー(長調)なんだよ。普通ジャズは、ブルーノートを使ってセブンス系ということが多いから珍しい。クラシックで言えばドビュッシーとかの世界になるんだけど、でも曲の展開はそういう感じじゃなくて、変わってる。美しい転調をしていって、ジャズだから何回りかすると頭に戻ってくるんだ。 テーマ自体が抽象画になっていると言えばいいかもな。そこでアドリブをするから、めくるめいちゃう。40数小節の変則のテーマが終わると、まずピアノソロにいくんだけど、それも新しいんだよ!テナー・サックスの人っていうのは、テーマを吹いてまず自分がアドリブをやって、あとは任せておいて、最後のテーマをまた吹くっていうのが定番。でも、チャールズ・ロイドは、テーマを終えるとまずメンバーにして、熟したところでまた吹きにいくんだ。 で、このキース・ジャレットのピアノソロが本当に素晴らしい。ドラムが新しい、いい感じの8ビートを打って、支えるのが昔ながらのベースで・・・その間に流れるピアノソロは、音がつぶだっていてすごくいいメロディーがずーーっと続くの。聴いてると疲れちゃうくらいだよ(笑)。キレイなものがどーーっと続きすぎると疲れることってあるじゃない、そんな感じで。でもそれがまた、快感、もう好きにしてって感じ(笑)。3分から5分くらいのソロが終わるまでは、息が止まるというか、息するのを忘れる感じだな。ジャズ喫茶でかかったときは、レコードなのに、店内がシーンとなってみんな中腰になって聴いていたものだな。
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