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| 一昨年、日本のポップスシーンにその名を刻み込んだ元ちとせのデビュー曲「ワ ダツミの木」の作者、上田現はバンドブームの一翼を担いミクスチャーロックの先 駆者とも言えるレピッシュに在籍していた。これは、91年に発表された初のソロア ルバムで、「ワダツミ〜」のヒットもあってかリマスタリングを経て再発されて いる。違和感を日常の中に混ぜ込んで、反抗心にも似たシュールな作風をレピッシ ュではみせていた彼が、このアルバムでは世界で始めて宇宙に飛ばされた宇宙犬や、 海外旅行で遭難してしまった農協のおじさんといった題材を扱い、「異物」への感 情に真正面から向き合っている。 つまりは、自分自身が「異物」であり、その事実を受け入れることで世界が大きな 広がりを見せている。決して器用では無いがひたむきな歌唱と、80年代のニューウ エイヴを彷彿とさせる雑食的で、良い意味で自家製的なプロダクションが、上田現 という人の内面を見事に映し出す。幻想的かつリリカルな描写が繰り広げられる 「ワダツミの木」の世界観は一長一短に出来上がったものではなく、上田現が十年 以上に渡る活動の中で常に表現していた延長に存在するのだ。 「コリアンドル」以降の上田現やレピッシュの作品は、寧ろ職人的な佇まいを見 せて、今作のような奇跡的な開放感は失われていくのだが、元ちとせという歌い手 との出会いによって、上田現の音楽はひとつの完成を迎えたと、僕は思っている。 レピッシュの初期の作品も最近になって再発され、特に「カラクリハウス」までの アルバムには共通した、そしてよりシュールな世界が待っているので是非一聴 を薦めたい。(ura from realm mag)
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