目玉、目玉、目玉、目玉・・・目玉のオヤジが4人、シルクハットにタキシード姿で氷山にたたずんでいる。これレジデンツの「エスキモー」。
レジデンツと言うのは70年代後半辺りから活動している切れ者(≠変人)の音楽集団で、その素性は一切謎という。彼らが79年に創ったこの作品は、文明社会の侵食で失われつつあるエスキモーの生活や文化、風土を表現するというコンセプトで作られたらしい。狩られるセイウチの泣き声、呪術的な民俗音楽のリズム、凍えるようなシンセの響き・・・そこには失われゆくエスキモーの生活が、レジデンツによって見事なほどリアルに表現されており、そこにはなにやら鬼気迫る物すら感じる。しかし、だ。問題はこのジャケである。どう考えてもまじめに創られた物ではない。何しろ"目玉のオヤジ"が4人だ。しかも服を着ている。人を喰っているにも程がある。ならば、このリアリティあふれる音楽は、みんなウソ、ハッタリなのか?そう思うと、とたんに全てが胡散臭い物に感じられる。流れる音楽のリアリティが増大すればするほど、彼らに対する胡散臭さはその倍の規模で増大していくのだ。「一体何なんだこれは?」胸のうちで繰り返される疑問は解決される事無く、やがてレジデンツの演奏は終焉を迎えるのである・・・。けど、何だか面白い。
こういう音楽は、「これはどういう音楽なんだ?」とか無理矢理結論付けようとはせず、胡散臭さもすらもまとめて楽しんでしまえば良いのだ。そしてリアリティーと胡散臭さの裏に潜む、彼等のブラックでアナーキーなユーモアをも楽しんでしまえば良い。最も、今どきのポピュラーミュージックとはかけ離れている音楽である事は確かなので、明らかに万人受けはしないです。でも、レジデンツを聴いた事の無い人でこういうヘンなのが好きな人は日本にも後100人ぐらいはいらっしゃるかと思うので(いや、99人くらいかな)、これをご覧になっている物好きの皆様は是非とも買って下さい。テクノや音響ではないけど麻薬性は結構高いし、ヒーリングや環境音楽とも違うけど雰囲気に浸れる音楽なんで、普通に聴ける人は聴けると思います。聴けば面白いです。
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2004/8/29 虚空猫
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