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| 9月も終わりに近いのに、南西諸島は相も変わらずギラギラした陽射しとジトジトした熱気に覆われている。 私の中に何かを渇望する気持ちがギリギリの頂点に到達しそうになる。うだるような熱気と同じぐらいの、いや、それ以上に何かギラギラしたものを使って、何とかこの熱気をやり込めねばならない。 そう思った時はブルースを聴くことにしている。こんな季節になってもまだ、必死で照りつけている太陽はどこか恐ろしく、巨大で高圧的だが、そんな太陽から受ける威圧感は、せっぱ詰まった感情が絞り出される、弾き語りのカントリー・ブルースの、あの「ゾクッとする感じ」とも奇妙に類似している。 ではその「ゾクッとくる感じ」を最も強烈に味わえるアルバムは何か?私にとってそれは、ブッカ・ホワイトの「パーチマン・ファーム」になる。 戦前デルタ・ブルースのシンガー/ギタリストであるブッカ・ホワイト。彼は1920年代の末頃から、酒場やダンスホールでブルースを演奏していたが、ある日喧嘩の末に拳銃で知人を殺してしまい、農場付き刑務所「パーチマン・ファーム」に収監されてしまう。刑期半ばで保釈となったが、その刑務所での過酷な労働、自己の内面との格闘が彼の感受性と表現力を極限まで高め、この傑作を生んだ。 本来、彼の魅力は、他のミシシッピ・デルタのブルースマン達と同様に、荒々しくパーカッシブなギター・プレイと、野太い声で吠えるように歌うヴォーカルであるが、このアルバムには、それに加え、奥底から滲み出てくるような繊細な感情描写があり、「力強さと繊細さ」という、一件相容れない特徴が、言葉に出来ないほどのヒリヒリした悲愴感によって不思議なバランスを保っている。彼はこの後に多くの作品をリリースしており、どれも純粋にカッコ良く、迫力のあるデルタ・ブルースの真髄を伝えてくれるものだが、それでもこのアルバムの生々しさだけがやはり際立っている。 このアルバムの凄さは、彼のファルセット(裏声)による叫びと、硬質なギターの音が一気に噴き出してくる最初の1、2秒でもう十分過ぎるほど伝わってくるだろう。この悲痛で美しい叫びは、ブルース意外の何物でもないが、もしかしたら「ブルース」とかそういった言葉で表すもの間違っているんじゃないかと思わせるほどのものだ。太陽の熱気や、感じていることすらも粉砕してしまう。
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