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『螢』というアーティストを知ったのはいつのことだったか、何がきっかけだったのか、今となっては全く思い出せない。いつのころからか、週に一度深夜に目覚まし時計をかけて、螢の声が流れるラジオにしがみついていた。螢とわたしが同じ年だと知ったのは、そのあとだ。 「『螢』の『星くず』、ききたいひとは きいて。」 深夜のラジオから流れる螢の囁く声。呟くように歌う不安定な歌、こぼれ落ちるようなポエトリーリーディング。回を重ねるごとに、螢は強くなっていった。何もかもにも目を伏せていた笑わない少女は、音楽に乗せるため言葉を紡いだり、モンゴルの遊牧民のもとを訪れたり、ラジオのマイクに向かったりすることで、少女らしい強さを取り戻したようだった。そしてラジオは、静かに終った。 今もそれを録音したテープは何本か残っている。その少し劣化した螢の声を聴く度に、あのころ抱いていた痛みを思い出す。わたしとは何なのか。どうしてこんなに悲しいのか、悲しいのに生きなければならないのか。叫びたいのに許されないのは、何故なのか。 『ヒツヨウ ナ エガヲ タスケテアゲテ・・・』 そのラジオのエンディングにいつも流れていた、c/w曲『大切ココロ』が、螢の作品の中で一番好きだ。
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