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| 【湯川潮音がレコメンドする一枚】 このブルース・コバーンの「雪の世界」は私にとってアルバムというものの捉え方を変えてくれた一枚です。 一人の人間が、雪降るカナダの森の中で、ギター一本を抱え、そこに吹く風や木々の歌、星降る夜のことを淡々と唄っている。 それ以上でもそれ以下でもない世界。 けれどもひとつひとつの唄の中には、見事に色鮮やかにあらゆるものが織り込まれてる。 まるで何色もの色の糸を紡いで紡いで作ったみたいに。 それはそれは丁寧で暖かい極上の織物。 身近にある極小のものだけでこれだけ濃厚なものが創り出せる、ということは、そこにある風や木々や星が実は全てで、 「そこにあること」自体が目的なんだ、ということと繋がっている気がする。 この「雪の世界」ではブルース・コバーンも、その「そこにあること」自体が意味ある、自然の中に溶け込んでしまっているんだろうか。 何かを創り出しているようで、ただ翻弄されているだけのような不思議な感覚。 淡々と降りしきる雪が、降りたいという意志のもとに降っているようにも、始めから決まりきったことのようにも見える瞬間の重なり。 聴き終わった後には、自分の中の世界がひとつ増えたような、実はずっと前から知っていたような気持ちになる。 私もこんな音楽家になりたい。
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