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ユリ・ゲラー / Uri Geller
2005.1.25 LDCD-50014 ¥ 2,100 (税込) CD
カモン・アンド・ラヴ / ヴェルヴェット・スペース / ディス・ガール・オブ・マイン / ア・クィーン・ウィズアウト・ア・キング / 想像を越えて / その日 / 本当にお答えできないのです / この孤独なる人 / 我が子 / ア・ストーリー・トゥ・テル / ムード 


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 きっと、みなさんご存知ないな。ぼくだって知らなかった。ユリ・ゲラー、なんとレコードを出していたのである。

 今となっては、どうでもいい人なのかもしらん。が、誰しもみんなスプーンを曲げようと試みた経験(トラウマ)を持ってるわけで。ユリのレコード、っていうとアイドルのレコードみたいだが、とにかく本作、存在すると知ったからには「聴いてみたい」と思うのが人情だろう。たいていの人は「聴いてみたい」にとどまるんだろうけど。で、それで正解なんだけど。好奇心に勝てなかったのか、CDに込められたユリの超能力のせいか、そこに踏みとどまらず、買っちゃったけどね、ぼくは。

 聴く前からすごい。「注)ユリ・ゲラー及び全関係者は、このCD(実験)から生じるいかなる結果にも責任を負いません」ときた。文字通り無責任。そうか、CD再生って実験にもなりうるのか。こんな無茶を表パッケージで堂々と謳えるのは、ユリとCCCDくらいのもんである。
 
 肝心の内容だが、帯文句の「幻の奇盤」「早すぎたヒーリングミュージック」、これに尽きる。

 ストリングスやらピアノをバックに、自作の詞(を日本語に直訳したもの)をユリが朗読する…のだが、イスラエル人の日本語ってだけで既に相当おもしろいのに加え、「ソノヒ、アカガキイロニナッタ ムラサキハキイロニナッタ」「フカーイ、ナガーイ、ヒローイ」なんてシュールだかなんだかわからない言葉を連発。ところどころ日本語としては聞き取れない日本語があるのに「タスケテクレ」って箇所だけ妙に上手かったりと、余計なひっかかりもある。間違いなく奇盤。<畸盤>まであと一歩である。

 途中、女性シンガーの歌なんかを挟みながら、愛、宇宙、終末、神についての詩を朗読するし、「ホントウニオコタエデキナイノデス」と突拍子なく言い訳かますし、そんなこんなで意外にも飽きずに通して聴けてしまうのが怖い。バックの音もバラエティに富んでて耳に障らないし、きっちりヒーリングミュージックとして機能してるのだ。ユリの詩でそれどころじゃないけど。

 で、やれるだけやって「何かありそうな」ムードを作り上げたところで始まるラストナンバー『ムード』。「フォークデモイイ キーデモイイ」「ヒタスラナニカガオコルヨウニ ネンズルダケダ」とスプーン曲げの極意をユリ本人が教えてくれる。ここまでスプーン曲げについて一切ふれてこなかったのにいきなり始まるんだ、これが。スプーン曲げってネタだけで12曲持たせるという難題に「神秘的な前振りをして、最後で一気にスプーン曲げに持ち上げていく」という解決策を提示していて、それが見事に成功している。超能力のインフレを避けながらも、統一感がある。うまい。って、何マジでほめてるんだか。調子狂わされっぱなし。

 曲の終盤では「タダチャンスニ メグマレナカッタ トイウダケノコトデス」「ワタシニダッテヨクアルコトデス」と、自分も含め失敗した人へのフォローも忘れない。もちろんこのフォロー、ちっとも嬉しくなんかない…のだが、ここまで聴いてしまった時点で既にユリ土俵に乗ってしまっている。後の祭りだ。リスナーに残されたのは、ユリにフォローされるか(ケッシテ キヲ オトサナイデ)、意地でもスプーンを曲げるかの究極の二択。いずれにせよ、ユリには勝てない。よくできてる。ここでの「よくできてる」はレコードとしてってことではなく、ユリグッズとしてってことだけど。
 
 『ユリ・ゲラー』、初回盤はなんとスプーンのおまけつきだそうです。まだ曲げるか。


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2005/6/28 Mori Teppei
星無し


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