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−The Shape Of Jazz To Come− 日本語タイトル「ジャズ来るべきもの」。 このアルバムを初めて耳にしてもう何年になるだろう。 私にとってこれは、未だに「理解したことより、理解できないこと」の方が多いアルバムであり、だからこそ何年聴いても飽きないどころか、聴く度に新たな発見があるアルバムだ。 まず最初に気になったのが有名な「淋しい女」。 きっかけはスイング・ジャーナルの特集記事の、「かつての名レビュー」みたいなコーナーに載っていた油井正一氏のレビュー(アルバム発表当時のもの)だった。 「−試みに『淋しい女』を聴いてごらんなさい。この曲でイメージするのは、 『淋しい女の姿をした人間』ではなく、骸骨なのだ。(中略、というか失念)君はゾッとしないか?」という文章が(記憶を辿って思い出したので、細かい部分は違うと思いますが、大方こんな感じでした)私の心をときめかし、「そうだ、オーネット聴こう!」という気持ちになったのだ。 勢いCDを入手して早速聴いた「淋しい女」から受けた印象は、「骸骨」どころか てんでバラバラに散らばった、人の形すらしていない人骨の「部品(パーツ)だった。 チンチキチンチキと激しく打ち鳴らされるシンバルと、不規則な間隔で「ボーン、ボーン」と弾かれるベース。 この段階でどっちがメインのビートなのかもうさっぱり分からなくなる。 さらにオーネットとドン・チェリーのダウナーなメイン・テーマ〜アドリブが混ざると、もうどの音を聴けばいいのか前後不覚になってしまう。 ところが、この「訳の分からない音楽」、脳を通り越して心の奥底に直接働きかける作用というのがどうやらあるみたいで(マイルスの「ビッチェズ・ブリュー」とか、コルトレーンの「オム」なんかもそうだった。意味などないか、あっても分からなくても良いのだ。)、聴いているうちにグイグイと引き込まれてしまうのもまた事実なのだ。 「この曲、わかんないけど何かクるなぁ〜」というのは、分らないながらも最初から感じていた。 そしてある日! 「淋しい女」の、あのメイン・テーマが、私の心に不思議な優しさに包まれているような心地良さを感じさせてくれた。 「え?えぇぇえ!?何コレ!この曲ってこんなに泣ける曲だったのぉ!?」と、最初は私の心の中に劇的な「揺れ」が生じた。 そして「揺れ」と同時にジンワリジンワリと染みてくるやるせなさがある。 その体験は恐ろしく具体的だったが、同時に恐ろしく抽象的な体験でもあった。 そして、その「やるせなさ」「優しさ」の正体は、未だに何なのか良く分からない。 だから私は今日もこのアルバムを聴く。 もう何百回聴いたか分からない。 でも、何百回聴いてもまだ尽きない魅力がこのアルバムにあると思えば、何だかとっても嬉しくなってくる。
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