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アウトワード・バウンド / Eric Dolphy
1999.11.20 VICJ-60429 ¥ 2,520 (税込) CD
G.W. / グリーン・ドルフィン・ストリート / レス / 245 / グラッド・トゥ・ビー・アンハッピー / ミス・トーニ 


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ジャズの世界ではチャーリー・パーカーの次に来た、演奏分野での大革命が、エリック・ドルフィーの超個性的なアドリブだったと思う。

彼のスタイルは、チャーリー・パーカーの高速で吹き抜けるビ・バップを下敷きにしつつ、更にフレーズを理論的に分解し、更にスピードと音程の幅を驚異的に広げまくった超個性的なものであった。

そのフレーズの斬新さはもちろん、同じように吹きこなすのはほとんど不可能(というか無理)といわれる程の圧倒的なテクニックは、ミュージシャン達から高く評価され、コルトレーンのようなオーソドックスなスタイルから新しい試みを目指しているジャズマンから、スイング時代からの大ベテラン達までが(「彼はいい耳をしてるね」byロイ・エルドリッジ)存分な敬意を以て話題にするほどであった。

残念ながら彼の存命中は、その斬新なスタイルが一般の聴衆から評価されることは叶わなかったし、彼の演奏上の革命は、ジャズのスタイルそのものを革新させるパワーの主力とはならなかったが、残された音源はどれも「今でも衝撃的な、ドルフィーでしか成し得ない素晴らしくオリジナルなジャズが刻まれたもの」として、後にファンやミュージシャンから十分に評価されている。

今日ご紹介するアルバム「アウトワード・バウンド」は、PRESTIGEレーベル傘下の”NEWJAZZ”というレーベルから1960年にリリースされた、エリック・ドルフィーの記念すべきデビュー・アルバムだ。オリジナル曲とよく知られたスタンダード曲が程良いバランスで配されている絶妙な選曲の中に、ドルフィーをドルフィーたらしめている個性がギュッと濃縮されているような、彼の個性を知るためには絶好のガイドとなるであろう一枚であり、ドルフィーを含む斬新なアーティスト達が、新しい表現を次々と生みだした60年代初頭の「これから何か凄いことが起きるよ〜」という風な不穏な空気を感じさせてくれる一枚である。

ドルフィーにとっては正真正銘初めてのリーダー作。

大体「初のアルバム」を作る場合、張り切って自分の個性を存分に出そうとするタイプと、作品を慎重に作り込みながら、自分の個性を程良く表現するタイプとに別れるが、ドルフィーは後者。ジャッキー・バイアードやフレディ・ハバードといった、同じように斬新で柔軟な音楽性を持ったひとクセもふたクセもある連中をバックに従えてはいるが、あくまでオーソドックスな4ビートのリズムやバップのフィーリングを崩さずに、その中でドルフィーは、自らのプレイの中のアブストラクトな部分を「エッセンス・プラス・アルファ」に抑えていて、メンバー達も同じように節度を持った演奏に徹している。

でもそれが全然物足りない感じではなく、逆に彼らの”バップからちょこっとはみ出した感じ”が、独自の微妙にねじれたハード・バップとも言うべき「ドルフィー世界」を、オーソドックスなアレンジの中から異様に際立たせている。

私個人としては、ドルフィーの個性全開、誰が聴いてもショッキングであろうアルバムは、次作である「アウト・ゼア」や、BLUENOTE盤「アウト・トゥ・ランチ」、そして「ラスト・デイト」の3枚に尽きるとは思うし、まだドルフィーもジャズも良く分からない人には、それらのショッキングな作品をこそ最初に聴いて欲しいとは思うが、「ジャズ好き、でもドルフィーは良く分からん」という人は、このアルバムをきっかけにしてドルフィーの音世界に触れて欲しいし、上記3枚のうちいずれかでドルフィーのカッコ良さにシビレた人には、ぜひこのアルバムを聴き込んで、ドルフィーをもっともっと好きになって欲しい。


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2007/12/27 高良俊礼
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