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本作を聴いているときに、 いつも僕が思い浮かべてしまうのは 「死」 についてである。 それは彼の人生の終わり方も関係しているものだが、 それ以外の、純粋に彼の音楽について考えても同じことが浮かぶ。 エリオット・スミス。 1969年、米国ネブラスカ州オマハ市生まれ。 本名スティーブン・ポール・スミス。 享年34歳。 自殺。 ただはっきりと言えるのは、 彼が紡いだ曲達は、 共通して美しいということ。 そして常に美の中に軽く死の香りがする。 死の中に美を見ることは稀であるが、 音楽的には死と美は直結するものだというのが僕の考えである。 僕の持論に過ぎないかもしれないが。 生も死も、 美を感じる心も、 人間の根底に潜んでいる感情であり、 ふとした瞬間に表に出てくる郷愁のひとかけらなのだ。 エリオット・スミスの根元で震えるような歌声は、 そのひとかけらに触れたときに出る切なく揺れる心に酷似している。 あの世のイメージが三途の川を渡ったところの 「花畑」 になっているのは、 こういった美曲がこの世に残されることの反動ではないかと思ってしまうほどに。 僕はいつもこのアルバムの、 「Say Yes」 という曲を聴くと涙がこぼれそうになる。 僕の心を震わせる 「感情」 を、 彼の声とギターが投げかけてくるからなのだろう。 彼のフォーキーな音楽は、 人間の感情に最も肉薄したものなのだと思う。 そして、だからこそ最も美しく心をとらえるのだ。 それも、優しく、静かに。 静かに揺れる一厘のように。
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