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| 去年にリリースされたものですが。スティングが1600年代のシンガーソングライター、ジョン・ダウランドの作品をリュート奏者エディン・カラマーゾフの伴奏にのって歌っています。ジャンル的にはクラシック。クラシックのレーベルから出しています。 最初ちょっと引きました。こういう企画ものってちょっと…。本人の思いこみだけが伝わったり、どこかにムリあったり、それにクラシックでしょ…。 その懸念は一曲目ちょっと聞いただけで払拭されました。これ、スティングの曲、と言っても過言じゃない。スティングの声がエリザベス朝のイギリスの石畳の下から発掘されたのでは、と錯覚するようです。 ジョン・ダウランドという人はルネッサンスのころの人。イギリスの宮廷音楽家になろうとして失敗し、ヨーロッパを放浪の旅に出たりして、いろいろな国でそこの宮廷のサロンで歌を歌って世を過ごした人らしい。最後は故国に戻り、国王のお抱え奏者になっています。そして行く先々でラブソングを作って歌いました。当時有名だったらしいです。その彼にスティングはもう20年以上も興味を持っていたそうで、リュートを練習したりしていたそうです。(このアルバムでもちょっと弾いている) かといってスティングは特にクラシックな歌唱法をしているわけでもなく、また自分の個性で曲を塗り替えようとがんばっているわけでもないのです。ただ、いい歌を簡潔に歌っているだけ。 その結果、ジョン・ダウランドの作った400年前の「恋歌」の世界にスティングが連れて行ってくれる。あるいはスティングの声の中に400年の時を越えてジョン・ダウランドが立ち現れる。そんなアルバムに仕上がっています。 何かを伝えようと表現した人間の心を400年後にもう一度表現しようとする。才能のある人だけが通りぬけることのできる時間のトンネルをくぐって出会った曲と歌を聴くのはとても心地いいし、なごむし、ただなごむだけではすまない、大きなメッセージの存在にも気づかされるのです。 エディン・カラマーゾフのリュートもとても有機的。彼とスティングが初めて会ったときのエピソードがまた面白いのだけど、それはぜひアルバムについているスティングの書いたものを読んでください。
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