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フランスの作家、クリスチャン・ガイイの小説『ある夜、クラブで』を読むと、コルトレーンに関しての記述がある。 “テナーはいつものとおり、古いスタンダードのテーマを手荒くもてなし、テーマはもはや見分けがつかないものとなり、だがコルトレーンであることは聞き違いがなかった。古いメロディを若返らせてから、結局は息の根を止めてしまうあのやり方ときたら。” コルトレーンの特徴を的確に言い当てているなと感心してしまう一節だ。 ガイイの一節を読むと、果たして、小説中の登場人物が耳にしたスタンダードは何だろう? と気になって仕方がなってくる。 《サマータイム》? それとも《アイ・ウォント・トゥ・トーク・アバウト・ユー》? 私の場合は、このCDに収録された情熱的な《ボディ・アンド・ソウル》を思い出す。 “メロディを若返らせて、息の根を止めてしまう”という表現。 これは、曲のエッセンスを骨の隋まで吸い尽くし、しゃぶり尽くし、自分色に染めて吐き出すコルトレーンのアプローチということだろう。 だとすると、このコルトレーンっぽさがもっとも如実に現れた演奏こそが、この《ボディ・アンド・ソウル》だと思うのだ。 大胆にモード奏法を取り入れ、どこを切り取ってもコルトレーン色。 ほとんど、オリジナルなのでは?と思うほど、アグレッシヴで情熱的だ。 曲のエッセンスはもちろん残しつつも、曲の隅から隅までをむしゃぶり尽くすコルトレーン。 演奏終えてもコルトレーンはスタミナモリモリなのだろうが、曲のほうが精根尽き果ててしまっているという、熱い演奏だ。 しかし、運動した後の心地よい疲労感に襲われるこの演奏、私は結構好きだ。 《ボディ・アンド・ソウル》のみならず、コルトレーンの迷いなく、思い切りの良いプレイを楽しむことが出来る好アルバムだ。 燃焼型のコルトレーンのソロが終わると、熱さを引き継ぎつつも演奏の温度の方向性を多少違う角度に向けるマッコイ・タイナーのピアノも良い。 「カツ丼」における「お新香」の機能をバランス良く果たしている。 コルトレーンの顔がドロドロに溶解しているジャケットのこのアルバム、パッケージのオドロオドロシさからは想像がつかないほど、熱く、まっすぐで、エキサイティングなコルトレーンを味わえる。 どの演奏も充実。かつ聴きやすい内容だ。
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