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その軽やかでクセのない音色故か、どうしても「パーカー系のアルト吹き」以外の紹介文に出会ったことのない、ちょっとかわいそうなジャズマン、ソニー・クリス。 しかし、彼の本当の素晴らしさは、パーカー流のビ・バップを会得したことに非ず。あまつさえ「西海岸らしいカラッとしたサウンドの中で、小粋なバップ・フィーリングが漂う人の良さそうなアルト」みたいなものでもない。 何と言ってもスタンダード曲の美しさを2重にも3重にも際立たせて料理する、そのセンスの素晴らしさ、それがクリス最大の魅力であり個性だろう。スタンダード曲であれオリジナルであれ、見事に”オレのもの”にしてしまうパーカーとは決定的に異なる個性だ。 このアルバムは、1966年に録音された、クリスのスタンダード集。「酒とバラの日々」「ブラック・コーヒー」などの良く知られた小品を、スマートな音色とエモーショナルなブロウという一見相容れない要素がないまぜになったプレイでドラマティックに聴かせるクリスのアルトが爽快で心地よい。 画家に例えれば彼の演奏はズバリ”印象派”だろう。豊かな色彩感の中で、写実がギリギリのところで幻想と重なり、幻想が写実的である、夢とも現とも知れぬけれども確かなリアリティがある美しい演奏。 原曲の美しいメロディーを、気迫を込めながらも大袈裟感のない見事なアドリブで”原曲以上”のものに仕上げるクリスの真骨頂をこのアルバムで感じてください。 「いい曲だね、そしていい演奏だね」と、誰もが素直に思うこと請け合いの「自然体の傑作」だ。
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