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「スピーク・ロウ」の大ヒットで、一躍ジャズ・ピアノのスターの一人として知られるイォルター・ビショップJr.。50年代にはチャーリー・パーカーと共演したこともある大ベテランだが、このアルバムは1988年に”Interplay”という日本の小さなインディーズ・レーベルで録音したアルバムだ。 既にベテランの域に入った時期の演奏、小さなレーベルの音源ということで、発売当初はあまり注目されることはなかったが、レコードが完売した後に内容の素晴らしさが噂になって、ジャズファン、特にピアノ・ファンの間で「幻の名盤」と語り継がれてきた逸品である。 内容は、いかにも往年のモダン・ジャズといった感じの暖かみのある音がまずいい。そしてスタンダード、自作曲のアドリブの中に、有名スタンダードのフレーズを嫌味なく織り交ぜるセンスの良さもいい。決して派手にフレーズを敷き詰める訳ではないが、ひとつひとつの音を大切に”味わい”で聴かせるビショップのピアノと、堅実にうねるグルーヴを提供するベースとドラムスとがガッツリ組んで、50年代ハード・バップの空気感を、スッキリ無駄のない演奏でとことん感じさせてくれる。 堅実なトリオ演奏の中に、モダン・ジャズならではの洗練されたブルース・フィーリングが溢れかえっているムードは「スピーク・ロウ」とほぼ同じであるが、よりソリッドになったサウンドや、遊び心の発露みたいなアドリブの軽妙さが、この作品独自の魅力となっている。 恐らく本人にも、制作サイドにも「スピーク・ロウの二番煎じじゃない!」という強い意識があったのだろう。自分の最も得意とするスタイルで勝負しながらも、ギリギリのところで過去の焼き直し、単なる懐古趣味にならず、現役バリバリの凄みで聴かせるビショップも、綺麗過ぎない音作りで、リアルな”ジャズの空気”を感じさせてくれる制作者も、頑固な職人魂を素直にぶつけ合い、このアルバムを作ったような気がする。何というか名盤独特の気迫があるのだ。このアルバムには。 こういう作品には、コチラも飽きるまでとことん付き合うのが礼儀だ。私はCDで聴いているが、聴く時は1曲目から最後の曲まで、ノンストップでトラックも飛ばさずに聴く。それぐらいの価値は十分にある作品だからだ。 ところでこのアルバム。内容とタイトルは一緒だが、ジャケット違いがたくさんある’(多分再発毎に違うジャケでリリースされてる??)。どれがオリジナルなんだろう?
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