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モダン・ブルース・ギターの父 キャピトル・イヤーズ / Tボーン・ウォーカー
2004.9.23 TOCP-67454 ¥ 1,890 (税込) コピーコントロールCD
 


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「モダン・ブルース・ギターの父」とは、正にTボーンにピッタリのタイトル。「ブルース・ギターの神様」「ブルース・ギターの王様」は、多分いっぱいいるが、エレキギターを使ったブルースで「父」という尊称が許されるのはTボーンしかいない。

生まれ故郷のテキサスで、盲目のブルースマン、ブラインド・レモン・ジェファソンについて回り、そのテクニカルな単弦奏法の極意を学んだTボーンは、エレキギターを持ち、エレキの豊かなサスティン(音の伸び)を活かした流麗なソロ奏法を確立。それに衝撃を受けた若き日のB.B.キングが更にソロ奏法を進化させ、モダン・ブルース・スタイルの基礎を形作った。

で、B.B.に影響を受けた、ミシシッピやメンフィス系のブルースマン達、そしてミシシッピ周辺地域からの、シカゴ、デトロイト等への”北上組”も、軒並みB.Bの演奏をお手本にしたことで、一般に”ブルース”と言って思い浮かぶ、あの「歌とオブリガード(単音弾き)を交互に繰り返し、チョーキング多用のギター・ソロで盛り上がる」スタイルが一気にブルースの本流となった。

Tボーンの地元、テキサスやウエスト・コーストに目をやると、ピー・ウィー・クレイトンにクラレンス”ゲイトマンス”ブラウン、ジョニー・ギター・ワトソンなどなど、奏法から、ホーン入りのバンド編成まで、Tボーンの流儀に忠実な人達が、それこそわんさかいる。

ブルースは大きく分けて「ミシシッピ〜シカゴ」の流れと「テキサス〜ウエスト・コースト」の流れとの2つに別れるが、その両方にまんべんなく大きな影響を与えたのは、Tボーンぐらいだろう。戦後ブルースマンにとっては、Tボーンからの直接/間接の影響はとにかくデカいのだ。

「ほうほう、Tボーンっていう人はそんなに凄いのか。どれ、ひとつ聴いてみようか」と思った方にはまずはコチラ。Tボーンの最も有名なポーズ「元祖背中弾き」がデカデカと描かれたジャケットもカッコイイ「モダン・ブルース・ギターの父」。Tボーンのアルバムでは、レコード時代から「ブルース聴くならこの1枚」として挙げられていた定番である。

最初にこのジャケットを目にした時は、「どんなに泥臭く、ワイルドなブルースなんだろうか」と思ったが、ワクワクしながらCDをプレーヤーにセットして出てきたサウンドは、想像とは全く逆の、実に洗練された、むしろジャズに近いスムースなものであったことに面食らったが、メロウで聴き易いサウンドの中で映えるTボーンの、小粋なチョーキングで、微妙なけだるさまでも表現するギターを聴いて、素直に「巧い!」と感動した。

ジャズの理論も活かしたクールなサウンドこそ、このアルバムの最大の魅力なのだが、それはまた、「キャピトル」というレーベルの特徴でもあった。1940年代に、西海岸の新興レーベルとして台頭したキャピトルは、ジャズやポピュラーなど、のっけからメジャー・ヒットを連発していた。後にビーチ・ボーイズやザ・バンド、リンダ・ロンシュタットなどのポップスターを輩出し、今もメジャー・レーベルとして音楽シーンに確固たる地位で存在しているこのレーベルは、設立当初からフランク・シナトラやナット・キング・コール、ジュリー・ロンドンなどの錚々たるスターを抱えていて、そんな中に「メジャーでも売れるブルースマン」として、Tボーンも名を連ねていたのだ。

エレキ・ギターを初めて本格的に使いこなし、洗練されたバンド・ブルースをバックに、ギター・ソロの地位を飛躍的に高めたTボーンの音楽は、レコード会社の「ポピュラー・アーティストとして売り出そう」という目論見の追い風に乗って人気を博した。

「コール・イット・ストーミー・マンデイ」「ミーン オールド ワールド」「ティーボーン・シャッフル」など、その後も大勢のブルースマンやロック・ギタリスト達にカヴァーされた楽曲の完成度の高さにも、Tボーンの非凡な才能が感じられる。とにかくTボーンを聴いてみたくなった人は、このアルバムを味わいながら聴き込んで欲しい。


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2008/4/2 高良俊礼
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