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ジャジーで洗練されたサウンドと、エレキギターの画期的な奏法によって、実質的な「モダン・ブルースの創始者」となったTボーン・ウォーカーは、50年代にはキャピトルから、これまた新興レーベルの”インペリアル・レコーズ”に移籍して、今度はよりR&B色を強めたサウンドで、新境地を切り開いた。 この「オリジナル・エレクトリック・ブルース」は、そんなTボーンのインペリアルでの録音の中から選りすぐりの20曲を収録したベスト。「モダン・ブルース・ギターの父」で「おお、Tボーンってカッコイイなぁ。シブイなぁ」と感動した人も、あまりピンとこなかった人も、このアルバムを聴けばTボーンの魅力の、より真髄の部分に迫れるんじゃないだろうか。いや、この際「モダン・ブルース・ギターの父」を持ってなくても、このアルバムを聴いてTボーンのカッコ良さに初めてシビレても、何らおかしくはない。 一言で言えばダイレクト。もう一言付け足せば「よりブルージー」ということになろうか。とにかくTボーンのギター・プレイのカッコ良さ、ソウルフルに進化したヴォーカルの味わい深さが、ジャジーで奥ゆかしいキャピトル時代のサウンドとはまた違った、程良く泥臭いR&Bバンド・サウンドで楽しめる。 Tボーンの作風が、ジャズからR&Bにシフトした背景には、都市部の黒人人口が増加してきたことによって、彼ら対象のマーケットが急成長してきたこと。結果として”黒人社会の新しい流行音楽”として、よりリズム面が強調され、リフや進行が単純化されたR&Bが台頭したことも大きいが、元よりTボーンは30年代に出身地のテキサスでマ・レイニーや、アイダ・コックスといったシンガー達(彼女達は、いわゆるフルバンドをバックに唄う”クラシック・ブルース”の歌手であるが、北部や中西部で活躍したシンガー達のようなジャズ的な歌唱よりも、より泥臭いシンプルな歌唱と演奏で、南部一帯を沸かせていた)の伴奏を通じて、R&Bの大本となるバンド・ブルースのフィーリングは十分に掴んでいたし、Tボーンの影響下にあった地元テキサスのギタリスト達は、一足早くフルバンドで豪快にスイングするジャンプ・ブルースをテキサス近辺で流行させてもいた。 だからTボーンがR&Bに素早く手を出したのは、ある意味自然な流れであったし、必然でもあった。もしかしたらヒューストン辺りでジャンプ・サウンドをブイブイ言わせていた連中のレコードを聴いて「ふふん、オレならもっと上手くやれるぜ」と、思っていたかも知れない。 実際にこのアルバムでのTボーンは、水を得た魚の如く自由にギターを弾きまくり、実に伸び伸びと唄っている。それまでどこかにしまいこみ、ふとした時に小出しにしていた南部人気質が、ウエスト・コーストの手練れのブルースマン達がガッツリとバックアップする硬派なサウンドと、すこぶるゴキゲンなグルーヴに煽られて炸裂したかのような、そんな演奏を聴くと「ああ、B.B.キングやそのへんの世代のギタリスト達が衝撃を受けた演奏ってのは”コレ”なんだな」と、思わず感動が込み上げてくる。キャピトル盤の「開脚背中弾き」のポーズは、コッチの音の方が、何だかしっくりくるよーな気がするのはもしかして私だけ? ともあれ、キャピトル時代の演奏には、”小出し”の奥ゆかしさの美学があって、それはそれでタマラン味わいであり、インペリアル時代の演奏の”炸裂”のもまたいい。どっちも偉大なる「モダン・ブルースの父」Tボーンの本質であり、真髄なんだなぁ。ハッキリと言えるのは、Tボーンという人の音楽はとっても深いってことですよ。
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